購買・調達業務を次の次元へ─RPA×生成AIで実現する“考える自動化”
- 兎澤直樹
- 5 時間前
- 読了時間: 3分

1. はじめに:購買・調達業務の“目に見えないムダ”
企業の購買・調達部門は、組織全体のコスト構造に大きな影響を与える重要な存在です。しかし、実際の現場では、以下のようなアナログな業務が多く残っています。
仕入先から届いた見積書を1件ずつ目視で確認
メール本文から価格や納期を抜き出してExcelに転記
契約書の条件を読み解いて上長へ判断を仰ぐ
社内システムへの重複入力
このような業務は、属人化やヒューマンエラーを招きやすく、時間もかかります。
「もっと効率的に、しかも正確にできないのか?」
その答えが、RPAと生成AIの組み合わせにあります。
2. 業務別マッピング:RPAと生成AI、それぞれの得意領域
まず、購買・調達業務をパーツごとに分解してみましょう。
業務 | RPAの適用 | 生成AIの適用 |
発注データの転記 | ◎ 定型処理に最適 | △ 条件次第で対応可 |
見積メールの要約 | △ 抽出には限界あり | ◎ 非構造データから要点を抽出 |
契約書のリスク判定 | × | ◎ 条文の理解・リスク要素抽出 |
上長承認フロー | ◎ 条件分岐で可能 | △ 条件の柔軟判断なら強みあり |
RPAは繰り返し処理の高速化、生成AIは“人の読み解き”の自動化が強みです。
3. 実証実験:見積もりメールを自動で読み、システムに入力させてみた
▶︎ 目的
仕入先から届くメールを生成AIに要約させ、その結果をRPAでExcelに転記する。
▶︎ 見積りメール例
件名:お見積もりのご案内
本文:
いつもお世話になっております。以下、ABC製品の見積もりです。
単価:3,200円/個、数量:100個、納期:7月25日頃、条件:前金一括払いとなります。
▶︎ 生成AIの出力例
商品:ABC製品
単価:3,200円
数量:100個
納期:2025年7月25日
条件:前金一括払い
▶︎ RPAの動作内容
上記要約内容をExcelへ自動入力
フォーマット:商品名/単価/数量/納期/条件
入力時間:約5秒(人手の場合:平均60秒)
▶︎入力後のExcel

4. 効果:ミスゼロ&スピード10倍、しかも誰でも使える
この簡易PoCの結果からもわかるように、人が読み解いて入力していた手間の大半を自動化できます。特に以下のようなメリットが明確でした。
スピード向上:平均処理時間が10分の1以下
ミスの削減:転記ミス、記入漏れがゼロに
属人化の解消:誰が対応しても同じ品質
さらに、AIによる文脈理解により、多言語対応や細かい条件読み取りも可能となります。
5. 導入ステップ:まずは「小さな成功」から始めよう
定型業務の洗い出し
→ 見積、発注、納期管理など候補を列挙
生成AIで処理可能な非構造データをテスト
→ 例:契約書、メール、請求書など
PoCを作成して社内でデモ共有
RPAとの連携でシームレスに自動化
段階的にスケールアップ
いきなり全体導入する必要はありません。ひとつの処理から「確実に成功させる」ことが鍵です。
6. 注意点と乗り越え方
▷ 多様な文面への対応
→ プロンプトの工夫や類型別テンプレートで対応可能
▷ AIの誤判断
→ 「AIが読み取った内容に対して確認フローを挟む」設計でカバー
▷ 社内展開の壁
→ PoCによる“見える成果”と、現場担当者への巻き込みが重要
7. おわりに:購買業務を“価値創造の起点”へ
購買・調達部門は単なるコストセンターではありません。今後は、RPAと生成AIの活用によって“戦略的パートナー”へ進化することが求められます。
まずは、小さな業務からでも構いません。自分の手で実証し、成果を「見せる」ことで、周囲を動かすきっかけになります。
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