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現場が変わる、未来が変わる──RPAと生成AIで進める製造業DXのリアル

  • 兎澤直樹
  • 8月1日
  • 読了時間: 4分
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1. なぜ今「製造業DX」にRPAと生成AIなのか?


かつて「改善」は製造現場の代名詞でした。しかし少子高齢化や人手不足、熟練工の退職により、「改善」を担う人材の確保すら困難な状況になっています。さらに、デジタルツールやセンサーが進化する中、現場に眠るデータは急増していますが、それを「使いこなせる人」は不足しています。

このような背景から、ホワイトカラー業務も含めた製造業全体のDXが求められています。そこで注目されているのが、「RPA」と「生成AI」の組み合わせです。

  • RPA:定型業務を自動実行し、人の手作業を代替

  • 生成AI:自然言語を理解・生成し、人の思考を支援

この2つを連携させることで、従来は難しかった「現場の判断・報告・意思決定補助」までも自動化の射程に入れることが可能になります。


2. 製造業における業務自動化の壁と可能性


製造業の自動化と聞くと「工場内のロボット化」が真っ先に思い浮かびますが、実際には紙の日報、Excelベースの集計、設備異常の報告書、品質レポートなど、ホワイトカラー業務がDXのボトルネックになっていることが多いのです。

例えば…

  • 紙の日報を手書き→Excelに転記

  • 設備異常が発生→作業員が報告書を作成→上司が確認

  • 検査データを集計→手動で報告書作成

このような業務においてこそ、RPAと生成AIの組み合わせが真価を発揮します。


3. 実証実験:工場内の報告業務をどこまで自動化できるか?

今回、架空の製造現場を想定し、実験を行いました。


■対象業務:設備異常報告の自動化

ステップ

内容

使用技術

作業員がフォーム入力(異常発生内容)

Googleフォーム

RPAが入力データを収集・整形

MICHIRU RPA

生成AIが異常内容を要約し、報告書を自動作成

ChatGPT

報告書を自動送信

Outlook


〇異常レポート例(作業員による記録)



【入力日時】2025年7月10日 08:47 

【作業員名】田中 一郎 

【設備名】成形機A-12 

【異常内容】部品交換中に異音が発生し、その後、成形品にバリが目立つようになった。モーターからの音が通常よりも高く、一定しない。オイルのにじみも確認された。 

【対応内容】一時停止後、設備保全担当に連絡し、現場にて点検。モーター周辺のボルト緩みが原因と判明し、締め直しを実施。オイルの拭き取りと漏れチェックを実施。 

【異常レベル】中(生産に影響はあるが即時停止の必要はない)


〇設備異常報告書例(生成AI作成)


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○Before / After 比較


Before(人手)

After(RPA+生成AI)

作成時間

約20分/件

約2分/件

表現のばらつき

個人差大

一貫した表現

上司確認のしやすさ

抜け・漏れあり

見出し・構成が整った報告

4. 製造業DXにおけるRPA × 生成AIの活用例

業務領域

RPA活用

生成AI活用

生産管理

生産計画・日報入力

異常傾向の要約・説明文作成

品質管理

検査結果の集計

品質報告書の下書き生成

購買・調達

発注処理の自動化

契約書のドラフト作成

設備保全

点検予定の作成

点検結果から報告書自動作成

5. 成功の鍵は「現場との共創」と「小さく始める」こと


DXは技術だけでなく、現場の納得感と運用定着が重要です。現場の負担にならず、「むしろ楽になった」と感じてもらうには、以下のステップが有効です。

  • 小さな業務を1つ選ぶ(報告書1枚など)

  • 現場と一緒に業務フローを洗い出す

  • 成果が出たら他業務へ横展開する

「全体最適」は最終目標ですが、「部分最適」で信頼を得ることが第一歩です。


6. よくある課題とその対処法

課題

解決策

RPAが途中で止まる

ログ・エラーハンドリング設計を徹底

生成AIの出力に誤り

プロンプトを明確にし、出力検証ロジックを追加

セキュリティが不安

オンプレ環境のAI活用や閉域接続を検討

7. おわりに:人の価値を最大化する仕組みへ


RPAや生成AIを導入することは、人の仕事を奪うことではありません。むしろ、単純作業や報告書作成といった「誰でもできるが時間がかかる仕事」から人を解放し、本来の判断・改善業務に集中できる環境を整えることが目的です。

製造業におけるDXの本質は、技術で「人を活かす」ことにあります。まずはひとつ、目の前の業務改善から。そこにRPAと生成AIの力を試してみてください。


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