業務効率化と品質向上を同時に叶える、会計DXのリアル
- 兎澤直樹
- 23 時間前
- 読了時間: 4分

はじめに
いま、会計業界が静かに、でも確実に変わり始めています。
「人手が足りない」「記帳代行の単価が下がってきている」「人件費は上がる一方」──そんな中、さらに追い打ちをかけるように始まったインボイス制度や電子帳簿保存法など、次々と変わる制度にも対応しなくてはいけない状況が続いています。
こうした中で、いま注目されているのが、RPA(業務自動化)とAI(人工知能)を活用した会計業務の効率化です。
特に、「仕訳の自動入力」や「決算書の自動作成」といった分野では、実際に成果を出している事務所も少しずつ増えてきました。
会計業務の“手が止まる山場”とは?
会計事務所の多くが感じているのは、「繁忙期の終わりが見えないこと」。
月次処理
領収書や請求書の確認
仕訳入力
決算書の作成
どれも毎月、毎年繰り返し出てくる作業なのに、なかなか減らない……。そこに人材不足やベテラン職員の退職が重なると、「時間も人も足りない」という現場の声がどんどん増えています。
そんな背景から、「RPA×AI」という新しい選択肢が、現実的なソリューションとして注目されているのです。
RPAとAI、それぞれの役割とは?
RPAは、人がPCで行っていた定型作業を代行してくれるソフトウェアロボット。 たとえば以下のような業務を自動化できます:
- 会計ソフトへの仕訳データの入力 - 銀行口座明細のCSV取込・整形 - 決算書のPDF出力・自動保存
AIは、人のように「考える」役割を担います。OCRや自然言語処理と組み合わせることで:
- 領収書の金額や内容から、勘定科目を自動推定 - 取引内容をもとに仕訳候補を提案 - 売上や経費の推移から異常値を検出
つまり、RPAが“手”、AIが“頭脳”の役割を担うことで、現場の業務が大きく変わり始めています。
【実例紹介】会計事務所の業務がこう変わった
● 手入力の仕訳作業が、1/3に短縮
弊社が支援した会計事務所の例では──
通帳のPDFや領収書の画像をAI-OCRで読み取り
取引内容をもとに、AIが仕訳を自動で提案
その仕訳を、RPAが会計ソフトに一括入力
という仕組みを導入。結果として:
月次仕訳が従来の1/3の時間で完了
入力ミスがほぼゼロに
新人でもベテラン並みの処理が可能に
「ミスを恐れて時間をかける」から「精度高く短時間で終わる」業務へとシフトしています。
● 決算作業も、確認中心へ
決算のときに時間がかかる「数字の転記」「帳票の整理」「チェック作業」も、いまではRPAとAIの組み合わせで、かなりの部分を自動化できます。
各種データを自動で集計
テンプレートに沿って帳票を作成
異常値の検出やコメントもAIがサポート
人が本来やるべき「判断」や「確認」に時間を使えるようになったことで、チェック業務が“単なる作業”ではなく、“創造的な時間”に変わりつつあります。
なぜ、いま会計事務所でRPA×AIが必要なのか?
以下のような背景が、導入を後押ししています
● 人手不足と後継者問題
後継者が見つからず、廃業を選ばざるを得ない事務所も。いまいるスタッフで最大限まわせる体制づくりが、急務になっています。
● テレワーク・ペーパーレスの推進
コロナ以降、「場所に縛られない働き方」が求められるように。RPAやAIを導入すれば、どこにいても同じ品質の仕事ができる体制が整います。
● 法制度の変化に対応し続けるため
電子帳簿保存法、インボイス制度など、制度対応はこれからも続きます。「うっかり見落とす」「対応が遅れる」といったリスクを減らせるのも、自動化の強みです。
RPAとAIを導入するためのステップ
1. まずは「繰り返し作業」を洗い出す
仕訳入力、振込確認、報告書作成など、“毎月同じ”業務が自動化の第一候補です。
2. 小規模に試してみる
いきなり大きな仕組みを入れる必要はありません。既存の業務フローを大きく変えずに、小さく試せるRPAツールから始めましょう。
3. AIは段階的に取り入れる
まずはAI-OCRで領収書の読み取り
次に仕訳提案、
最後に異常値検知へ
段階的にスモールスタートしながら広げていくことが、失敗しないポイントです。
最後に:RPAとAIは、“職員の代わり”ではなく“右腕”です
私たちが考えるDXの本質は、人の仕事を奪うことではなく、「人が本来やるべきこと」にもっと集中できる環境をつくることです。
たとえば、仕訳作業を自動化して生まれた時間を、お客様との対話や提案に使えたとしたら──それは事務所全体のサービスの質が一段上がる、ということです。
「自分の事務所にはまだ早い」と感じている方にこそ、まずは一歩、小さなところから試してみていただきたいと思います。
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