RPA × 生成AIで契約書処理はここまで進化する!実証実験で見えた業務自動化のリアル
- 兎澤直樹
- 7月22日
- 読了時間: 4分

1. はじめに:契約書処理の“地味だけど重たい”課題
契約書業務。それは、多くの企業で毎日のように発生するにもかかわらず、効率化の後回しにされがちな存在です。
「PDFで届いた契約書を保存」「社内台帳に契約内容を転記」「担当者へ内容共有」「更新期限の管理」…こうした作業は一見単純でも、件数が増えれば膨大な手間となり、ミスも発生します。
属人化、時間コスト、ヒューマンエラー。この問題に対して、いま注目されているのがRPAと生成AIの掛け合わせによる自動処理です。
2. 技術解説:RPAと生成AIの役割分担とは?
本記事では、以下のように役割を分担する構成を想定しています。
RPA(MICHIRU RPA)
定型処理を自動化(契約書の保存・テキスト抽出・転記・通知など)
生成AI(ChatGPT)
非定型情報の処理(契約条項からの要点抽出、契約内容のサマリー生成)
この組み合わせにより、人が時間をかけて行っていた「判断が絡む契約書処理」までを、半自動化することができます。
3. 実証実験:自分で構築してみた契約書処理シナリオ
「本当に使えるのか?」そう思った私は、架空の契約書3種類を使って実験環境を構築しました。
●想定した業務フロー
特定フォルダに保存された契約書(PDF)を生成AIに渡して「契約種別・締結日・契約期間・当事者名・注意すべき条項」などを要約抽出
結果をExcelに自動転記
重要キーワードを含む場合は、担当者へメール通知
⇩使用した契約書例(英語表記)

●使用したツール
MICHIRU RPA
ChatGPT
Excel
4. 結果と気づき:処理時間短縮と業務品質の可視化
⇩自動転記したExcel

⇩担当者へ送る際のメール本文(抜粋)
○○様
お疲れ様です。以下の契約書について確認の結果、いくつか重要なポイントが確認されましたのでご共有いたします。
【契約概要】
- 契約種別:業務委託契約(Web開発)
- 契約期間:2024年8月1日〜2025年1月31日
- 総報酬額:1,200,000円(税込)、月末払い
- 締結当事者:
甲:Sample Corporation, CEO Taro Tanaka
乙:DemoWorks LLC, Managing Partner Hanako Suzuki
【注意点】
- 報酬条件は「毎月末払い」となっており、支払遅延や処理漏れにご注意ください。
- 第4条において、機密保持義務が双方に課されています。業務遂行に際して情報取扱にご留意ください。
詳細は添付のExcelをご確認ください。ご不明点や追加確認事項がございましたら、お知らせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
結果として、手動で行うと1件あたり15分以上かかっていた処理が、自動化により3分未満になりました。特に要点抽出の正確さは、プロンプト設計を工夫することで大幅に向上。
例:「この契約書から、以下の項目を日本語で箇条書きで5行以内で抽出してください。契約種別・当事者名・契約期間・重要条項の要旨・注意が必要な点」
このような指示を与えることで、AIによる情報の過不足も大幅に減少。結果として、担当者は内容確認と判断に集中できるようになりました。
5. 適用業務の広がり:他の文書業務にも応用可能
今回の仕組みは、契約書に限らず様々な文書業務に応用できます。
NDA(秘密保持契約書)チェック
発注書/請求書の内容読み取りと転記
業務報告書の要約・分類
仕様書や議事録のポイント抽出
いずれも「読んで→書き写し→通知する」という業務がベースにあるため、RPA×生成AIが強みを発揮します。
6. おわりに:現場発信の実証が未来をつくる
「これは実際にできるのか?」という疑問から始まった今回の検証ですが、結論としては“十分実用レベル”です。
重要なのは、「すべてを自動化しようとしない」こと。判断が必要な部分は人が担い、定型業務はRPA+生成AIに任せる。この考え方が、業務効率化の本質だと感じました。
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