RPA × 生成AI × 業務の可視化 ― 組織の生産性を最大化する新アプローチ
- 兎澤直樹
- 9月11日
- 読了時間: 5分
更新日:9月29日

はじめに
企業のデジタル化が加速するなかで、「どの業務を効率化すべきか」「どこにムダが潜んでいるか」といった課題は経営層・現場問わず常に意識されています。これまで業務効率化の切り札として導入されてきたのがRPAです。しかし、導入効果が期待通りに出なかったり、対象業務の選定に悩んだりするケースも少なくありません。
そこで近年注目を集めているのが、生成AIとの組み合わせによる「業務の可視化」です。業務プロセスを見える化し、適切な自動化ポイントを発見することで、RPA活用の精度を高め、組織全体の生産性向上を実現できます。本記事では、その具体的な考え方と活用方法を解説します。
業務の可視化がなぜ重要なのか
業務の可視化とは、日々の作業を「誰が、どこで、どのように行っているか」を定量・定性の両面で把握することです。これにより以下のメリットが得られます。
ムダの特定:手戻りや二重入力など、業務フロー上の非効率を発見。
自動化候補の抽出:単純反復的な作業を明確化し、RPA導入の優先度を判断可能。
属人化リスクの低減:個人依存のタスクを見える化することで、引き継ぎや標準化が容易に。
意思決定の迅速化:可視化データを元に、経営層が迅速に判断できる。
従来はコンサルタントによるヒアリングやフローチャート作成に頼っていたこの作業を、生成AIとRPAが自動で支援する時代が到来しています。
RPAの限界と生成AIの補完
RPAは定型的な業務には非常に強力ですが、「どこを自動化すべきか」を判断する段階では課題が残ります。なぜなら、RPAはルールが明確でない業務を扱うことが苦手だからです。
一方、生成AIは膨大なデータを解析し、自然言語で要約や分類を行う能力を持っています。これを業務ログやチャット履歴、Excel操作履歴などに適用することで、以下のような分析が可能になります。
頻繁に行われているタスクをランキング化
作業時間の長い業務を自動でハイライト
属人化している業務をテキスト解析で特定
手順の冗長さを指摘し、改善案を提示
つまり、生成AIが業務の可視化を担い、その結果を基にRPAが自動化を実行するという「役割分担」が、両者の強みを最大限に引き出す鍵となります。
RPA × 生成AIで実現できる業務可視化のプロセス
次に、RPAと生成AIを組み合わせて業務可視化を実現するプロセスを整理します。
1. データ収集(RPAが担当)
PC操作ログ、システム利用履歴、メール送受信、Excel入力履歴などを自動収集
ユーザーへの負担を最小限にし、日常業務を妨げずにデータを蓄積
2. データ解析(生成AIが担当)
自然言語処理を活用し、業務内容をタスク単位で自動分類
頻度・所要時間・担当者分布を解析し、ボトルネックを特定
業務フローを可視化し、無駄や属人化ポイントを自動抽出
3. 改善提案(生成AIが担当)
「このExcel集計は週に10時間発生しているため、自動化候補」
「請求書確認業務は複数人で重複対応しているため、ワークフロー標準化を推奨」
といった形で改善提案を生成
4. 自動化実装(RPAが担当)
生成AIの提案に基づき、優先度の高い業務からシナリオを作成
自動化後もログを継続収集し、改善サイクルを回す
この流れを確立すれば、PDCA型の業務改善サイクルをAIとRPAが自動で回していく仕組みが実現できます。
活用事例のイメージ
ここでは、実際の企業で想定される活用事例を紹介します。
経理部門
AIが伝票処理や仕訳業務の操作ログを解析
「仕訳入力の大部分が定型パターン」であることを発見
RPAで自動入力シナリオを構築し、作業時間を半減
営業部門
AIがメール送信内容を解析し、定型返信を分類
「30%はよくある問合せへの同一回答」と可視化
RPAで自動メール返信フローを構築
人事部門
AIが人事システムへの入力操作を解析
入社手続きの多くが重複作業であることを発見
RPAで入力フォームを自動化し、人的ミスを削減
これらはすべて「まずAIで見える化」→「RPAで実装」という流れで進められる点がポイン
トです。
導入時の注意点
便利な仕組みである一方、いくつかの留意点も存在します。
データの品質:入力ミスや不完全なログはAI解析に影響するため、収集方法を精査する必要がある。
プライバシー管理:従業員の操作ログを収集する際は、適切な匿名化や権限管理を行うことが必須。
導入コストとROI:ツール導入だけでなく、組織全体の理解と運用体制が求められる。
AIの解釈力の限界:AIの提案はあくまで参考であり、最終判断は人間が行う必要がある。
これらをクリアすることで、スムーズに業務可視化を推進できます。
今後の展望
今後は、RPAと生成AIに加え、プロセスマイニングツールやBIダッシュボードとの連携も進むと考えられます。業務可視化が自動化の起点となり、さらにデータ駆動型の経営判断を下す基盤へと発展していくでしょう。
特に、生成AIが提供する「自然言語での説明能力」によって、経営層や現場担当者が専門知識なしでも業務の現状を理解できる環境が整います。これにより、効率化の取り組みが一部門に留まらず、全社的な変革へと波及する可能性があります。
まとめ
「RPA × 生成AI × 業務の可視化」は、単なる効率化ではなく、組織の働き方そのものを変える可能性を秘めています。
業務の可視化は自動化の第一歩
生成AIが業務分析と改善提案を支援
RPAが具体的な実装を担うことで相乗効果が発揮される
これらを組み合わせることで、企業は「どこにムダがあるか」「どの業務を自動化すべきか」を客観的に把握し、持続的な生産性向上を実現できます。
いまこそ、RPAと生成AIを活用した業務可視化を進め、未来の働き方をデザインしていくタイミングです。
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