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RPA × 生成AI × バックアップ自動化が切り拓く新しい業務効率化の世界

  • 兎澤直樹
  • 10月4日
  • 読了時間: 5分

更新日:10月7日

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近年、デジタルデータは企業活動において「血液」とも言える存在になっています。顧客情報、取引データ、契約書、設計資料など、どの業務にも欠かせないデータは、ひとたび失われれば甚大な損失を招きます。そのためバックアップの重要性は繰り返し叫ばれてきましたが、実際には「人手に依存したバックアップ」「タイミングが不定期」「復元の可否が不明確」といった課題を抱える企業が少なくありません。

ここで注目されているのが「RPA × 生成AI × バックアップ自動化」という新しいアプローチです。RPAが定型的な処理を高速かつ正確にこなす一方で、生成AIは柔軟な判断や例外対応を担います。この二つを組み合わせることで、従来は手間がかかり人為的ミスの温床だったバックアップ業務を、ほぼ自律的に進められる時代が到来しています。


バックアップ業務に潜む「人為的な落とし穴」


多くの企業では、バックアップを「月末に担当者が外付けディスクに保存する」「システム管理者がサーバーからデータをコピーする」といった形で運用しています。ところが実際には、忙しさから後回しにされたり、対象データを選び間違えたりといったヒューマンエラーが頻発します。さらに、バックアップしたはずのデータが破損していたり、復元手順が不明であることも少なくありません。

こうしたリスクを排除するには、自動化と監視を組み合わせた仕組みが不可欠です。RPAと生成AIの組み合わせはまさにこの課題にフィットします。


RPAの役割:定型業務を確実に実行する


RPAは、あらかじめ設定したシナリオに従ってデータの取得や保存を自動的に行います。たとえば以下のような流れです。

  • 毎日深夜0時に特定のフォルダにアクセス

  • 直近1日分の更新ファイルを検知

  • クラウドストレージにコピーし、世代管理を実施

この処理は人間が手作業で行えば30分以上かかる場合がありますが、RPAなら数分で完了します。また、休暇や残業に左右されることなく、確実に実行できる点も強みです。


生成AIの役割:例外処理や判断をサポートする


バックアップの現場では、「ファイル名が規則から外れている」「保存先の容量が不足している」「同名ファイルが存在する」といった例外が必ず発生します。従来のRPAだけでは、こうした予期しない状況に対応するのは困難でした。

そこで生成AIの登場です。生成AIは以下のような形で力を発揮します。

  • ファイル名が規則外の場合、AIが内容を読み取り、正しい分類を提案

  • 保存容量不足を検知した場合、古いバックアップの削除候補を自動でリスト化

  • 重複ファイルを見つけた際には、中身を比較し差分を説明

つまりAIが「人間ならこう判断するだろう」という補完を行うことで、RPAの弱点を補い、自動化の範囲を飛躍的に広げられるのです。


実行例:クラウドストレージへの自動バックアップフロー


では、具体的な実行例を紹介しましょう。ここでは「営業部の共有フォルダを毎日自動バックアップする」というシナリオを想定します。

  1. トリガー設定

    RPAが毎日23時に起動します。これはタスクスケジューラーやRPAツールのスケジュール機能で簡単に設定可能です。

  2. 対象データの確認

    営業部のフォルダをスキャンし、当日更新されたファイルを検出します。ここでRPAがファイルリストを作成。

  3. AIによる分類補助

    ファイル名に誤りがある場合、生成AIがファイル内容を解析して「見積書」「契約書」「顧客情報」などのカテゴリを自動推定。リネーム案を提示し、RPAがそれに基づいて保存先を決定します。

  4. バックアップ実行

    ファイルをクラウドストレージ(例:Google DriveやOneDrive)にコピー。世代管理ルールに従って、最新5世代だけを残し古いものは削除します。

  5. 例外処理

    容量不足やエラーが発生した場合、生成AIが内容を分析し「不要な旧データの削除」「圧縮保存の提案」など解決策を通知。管理者は通知を受けるだけで判断できます。

  6. レポート作成

    最後に「本日保存されたファイル数」「エラーの有無」「容量使用状況」などをまとめたバックアップ報告書を自動生成。AIが自然言語で要点をまとめるため、管理者は直感的に状況を把握できます。

このように、単なるコピー作業にとどまらず、運用レベルでの判断や報告まで自動化できるのが「RPA × 生成AI」の最大の強みです。


導入メリット:安心と効率を同時に実現


この仕組みを導入することで、企業は次のようなメリットを享受できます。

  • 人手に頼らないため、バックアップ忘れや記録漏れがなくなる

  • AIが補助することで例外処理の負担が大幅に軽減される

  • 管理者は日々の業務から解放され、レポートを確認するだけでよい

  • いざという時の復元手順が整備され、BCP(事業継続計画)の観点でも強化につながる

これらはすべて「安心感」と「効率化」の両立を意味します。特に中小企業にとっては、大企業並みの堅牢な運用を手軽に実現できる点が大きな魅力です。


今後の展望:バックアップからデータ活用へ


RPAと生成AIを組み合わせたバックアップは、単なる保険的な位置づけを超えていきます。保存したデータをAIが自動で解析し、「どの顧客群で取引が増えているか」「契約書の更新頻度はどの程度か」といった知見を経営に還元する未来が近づいています。

つまりバックアップは「守りの施策」から「攻めのデータ活用」へと進化しつつあるのです。


まとめ


「RPA × 生成AI × バックアップ自動化」は、従来の人手依存のバックアップ体制に革命をもたらします。RPAが定型処理を確実に実行し、生成AIが例外や判断を補完することで、ほぼ自律的なバックアップフローが構築できます。実際の業務フローをイメージできる実行例を見ても、その効果は明らかです。

これからRPAを導入しようと考えている企業にとって、バックアップ自動化は第一歩にふさわしいテーマです。なぜなら、効果がわかりやすく、経営層にも説明しやすいからです。バックアップという「守りの要」を強化しつつ、生成AIとの融合によって「攻めのデータ活用」へ進化する。この流れに乗るかどうかが、今後の企業競争力を左右すると言えるでしょう。



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