RPA × 生成AI × セキュリティ対応自動化~企業のリスク管理を次のステージへ~
- 兎澤直樹
- 15 分前
- 読了時間: 5分

はじめに:企業に迫るセキュリティリスク
近年、ランサムウェア攻撃や内部不正、情報漏えいといったセキュリティインシデントは、もはやどの業界にも例外なく起こり得る現実的な脅威となっています。大企業のみならず、中小企業にとっても、こうしたリスクは経営を揺るがしかねない重大課題です。しかしながら、セキュリティ部門の人材不足や対応工数の多さから、インシデントが発生した際に「即座に対応する」ことは困難です。
そこで注目を集めているのが、RPAと生成AIを組み合わせたセキュリティ対応の自動化です。これにより、膨大なログ監視や一次対応を自動で行い、人が判断すべき場面に絞って迅速に行動できる体制を整えることが可能になります。
本記事では、その可能性をわかりやすく解説し、さらに具体的な実行例を通じて「これなら自社でも導入できる」と思っていただけるよう整理していきます。
RPAと生成AI、それぞれの役割
まずは両者の特徴を確認しましょう。
RPAは、人間がパソコン上で行う定型操作を代行する技術です。ログ収集、アクセス権確認、異常検知後のレポート作成など、手順が決まっている作業をミスなく高速に実行できます。
生成AIは、文章やパターンを理解・生成する能力に優れています。セキュリティログやアラートを読み解き、自然言語でわかりやすく要約する、あるいは異常パターンを学習して潜在的リスクを推測するといった知的作業を担います。
この2つを組み合わせることで、「自動でログを収集し、AIが内容を解析、RPAが即時の一次対応を行う」という流れを作り出せます。これこそが、セキュリティ対応の自動化における新たなスタンダードになりつつあります。
実行例1:ログ監視と一次報告の自動化
多くの企業で日常的に行われているのが、サーバーやネットワーク機器のログ監視です。従来は膨大なログファイルを人が目視で確認し、異常を検出していました。しかし、これは時間も人件費も大きく消費する業務です。
ここでRPAと生成AIを導入すると、次のような仕組みを構築できます。
RPAが毎日決まった時間にサーバーログを収集し、必要な形式に整形する。
生成AIがログを解析し、通常と異なる挙動(不正アクセス、連続ログイン失敗、深夜帯の異常通信など)を抽出する。
RPAがレポート化し、担当者のメールに送信する。レポートにはAIによる「リスク度評価」や「推奨アクション」も添付される。
人は、AIがまとめたサマリーを確認し、対応の優先順位を即座に判断するだけで済みます。これにより、監視にかかる時間は従来の10分の1以下に短縮され、ヒューマンエラーも大幅に削減されます。
実行例2:アクセス権チェックと自動制御
情報漏えいの多くは、過剰なアクセス権限や不要なアカウントが放置されていることから発生します。定期的に権限棚卸しを行うことが重要ですが、人手で行うには膨大な作業となります。
ここでも自動化が効果を発揮します。
RPAが人事システムと連携し、退職者や異動者のアカウント情報を抽出。
生成AIがアクセス権一覧と照合し、必要のない権限や利用のないアカウントを特定。
RPAが自動でアカウント停止処理を行い、管理者に結果を通知する。
この流れを導入すれば、内部不正やアカウント悪用のリスクを劇的に減らせます。しかもAIによる解析で「この部門には不要と思われる権限」などの提案が加わり、セキュリティガバナンスの精度が向上します。
実行例3:インシデント対応の自動トリアージ
サイバー攻撃や不審な挙動が検知された場合、最も重要なのは「いかに早く対応するか」です。しかし、すべてのアラートに人が逐一対応していたのでは、リソースが追いつきません。
RPAと生成AIを用いれば、アラートを自動的に仕分け、緊急度に応じた行動が可能です。
RPAがセキュリティ監視システムからアラートを収集。
生成AIがアラート内容を解析し、「既知の誤検知」「軽度の脅威」「重大リスク」などに分類。
RPAが軽度の脅威に関しては自動で一次対応(該当IPの遮断やログ保存)を行い、重大リスクだけを担当者に即時通知。
こうすることで、担当者は「本当に重要な脅威」だけに集中でき、組織全体の対応スピードが飛躍的に向上します。
実行例4:セキュリティ教育の自動化支援
人が最も弱いリンクと言われるセキュリティ分野では、従業員教育も欠かせません。RPAと生成AIは、この教育分野でも活用できます。
例えば、メールの添付ファイルを開く前に「不審メール判定」のAIシステムと連携させ、RPAが自動で警告ポップアップを表示する仕組みを作れば、従業員の意識を常に高めることが可能です。また、AIが不審メールの傾向を要約し、定期的にレポート配信する仕組みを導入すれば、セキュリティ教育が自然に組織に浸透していきます。
RPAと生成AIの導入がもたらす未来
以上のように、RPAと生成AIを組み合わせたセキュリティ対応の自動化は、監視、制御、教育、トリアージといった幅広い領域に応用できます。その結果、企業は次のような未来を手にすることができます。
インシデント発生時に「即座に行動」できる安心感
人材不足を補い、セキュリティ担当者の負担を軽減
内部統制の強化による企業全体の信頼性向上
これらはすべて、「RPAと生成AIを導入するかどうか」にかかっています。
まとめ
セキュリティ対応は待ったなしの課題ですが、すべてを人が担う時代は終わりを迎えています。RPAによる迅速で正確な処理と、生成AIによる高度な分析・判断を融合させれば、企業は「守りの力」を飛躍的に高められます。
本記事で紹介した実行例は、どれも今日から検討可能な現実的な取り組みです。まずは小さな範囲からでも導入し、その効果を実感してみてください。セキュリティを強化しながら業務効率化を進めることは、企業の持続的な成長に直結する最重要戦略のひとつとなるでしょう。
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