RPA × 生成AI × IT資産管理：次世代の運用効率化と具体的実行例

兎澤直樹
12 分前
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序章：IT資産管理が抱える根本的な課題

企業が抱えるPC、スマートフォン、サーバー、ライセンスなどのIT資産は年々増加しています。しかし、その管理は多くの場合Excelや専用システムへの手入力に依存しており、更新漏れや重複登録、棚卸し時の混乱が後を絶ちません。特に、クラウドサービスやリモートワークが広がった今、社員がどの端末を使い、どのライセンスを利用しているのかを正確に把握することは極めて困難になっています。

この問題に対し、RPAと生成AIを掛け合わせることで、人手による単調作業を自動化しつつ、複雑な判断やレポート作成を高度化する道が開かれつつあります。

RPAと生成AIの役割分担

RPAは定型的でルール化された作業に強みを持ちます。たとえば、IT資産管理システムへの定期的なログイン、契約状況の確認、Excelからのデータ転記といったタスクはRPAが得意とする領域です。一方で生成AIは、非定型的な文章生成や異常検知のためのレポート作成、膨大なデータから傾向を見つけ出すといった部分を担います。

両者を組み合わせることで、IT資産の「登録・更新」から「分析・報告」まで、一貫した自動化の仕組みを構築することができます。

実行例①：ライセンス使用状況の自動レポート

ある企業では、毎月ソフトウェアライセンスの利用状況を人手で確認し、未使用ライセンスを一覧化していました。ここにRPAを導入すると、以下のように変わります。

まず、RPAが各ライセンス管理ポータルに自動でログインし、使用ログを取得します。その後、生成AIがデータを分析し、利用頻度の低いユーザーをリスト化。さらに自然言語で「今月はAdobe Creative Cloudの未使用ライセンスが12件あり、年間コストに換算すると約120万円の削減余地があります」といったサマリーを生成し、管理部門に送付します。

従来は担当者が数時間かけて作成していたレポートが、自動的に、かつ文章としてわかりやすい形で提供されるのです。

実行例②：ハードウェア棚卸しの効率化

棚卸しの季節になると、PCやスマートフォンの現物確認とシステム上の登録情報の突合せが大きな負担となります。RPAを使えば、社員が提出したシリアル番号や端末情報を自動収集し、資産管理台帳と照合できます。

さらに生成AIが「登録情報と現物に差異がある可能性が高い端末」を優先度付きで抽出します。たとえば「A部門の15台のノートPCのうち、5台は登録情報とOSバージョンが異なっています。棚卸しでの重点確認を推奨します」といった形で、人が次に取るべきアクションを明確に示してくれるのです。

実行例③：セキュリティリスクの早期検知

IT資産管理とセキュリティは表裏一体です。資産台帳に登録されていない“野良端末”がネットワークに接続している場合、重大なリスクにつながります。

RPAはネットワークログを定期的に収集し、登録されていない端末を検出します。そのリストを生成AIが解析し、たとえば「営業部のVPNログイン履歴から、資産台帳に未登録の端末が2台見つかりました。1台は東京オフィスからの接続、もう1台は海外からのアクセスです」といった報告を作成します。担当者は即座にリスク対応へ移ることができ、事前防御の体制が強化されます。

IT資産管理におけるRPA × 生成AIの効果

これらの実行例が示す通り、導入効果は単なる効率化にとどまりません。

時間削減：繰り返し作業を自動化し、管理者は戦略的業務に集中できる。
精度向上：人手に比べ入力ミスや漏れが大幅に減少する。
コスト削減：未使用ライセンスや遊休資産を可視化し、不要な支出を抑えられる。
リスク低減：未登録端末や不正利用の早期発見が可能となり、セキュリティ強化につながる。

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導入の第一歩

RPAや生成AIというと、専門知識が必要で導入が難しいと感じる人も多いかもしれません。しかし実際には、小さなステップから始めることができます。たとえば「毎月のライセンス利用状況のExcel取り込みをRPAに任せる」といったシンプルな業務からでも効果は実感できます。そこに生成AIを組み合わせることで、単なる自動化にとどまらず「気づきを与えてくれる仕組み」へと進化するのです。