RPA × 生成AIで実現するチケット対応の効率化〜顧客対応を自動化し、現場の負担を軽減する新時代のワークフロー〜
- 兎澤直樹
- 10月18日
- 読了時間: 5分

はじめに:なぜ今「チケット対応」が課題なのか
カスタマーサポートの現場では、問い合わせ管理システム(ZendeskやFreshdesk、ServiceNowなど)を用いた「チケット対応」が日常的に行われています。問い合わせ内容を整理し、担当部署に振り分け、進捗を記録し、顧客に回答を返す——一見すると単純な作業の繰り返しですが、件数が膨大になればなるほどオペレーターの負担は大きくなります。特に以下のような課題が目立ちます。
初期対応に時間がかかるため、顧客満足度が低下する
類似の問い合わせに対し、同じ説明を繰り返し記入する非効率さ
担当者ごとのスキル差による回答品質のばらつき
こうした背景のなかで、RPAと生成AIの組み合わせは大きな注目を集めています。単なる「自動化」ではなく、「考える自動化」によって、チケット対応全体の効率と品質を同時に高めることが可能になりつつあるのです。
RPAと生成AI、それぞれの強み
まずは両者の役割を整理しましょう。RPAは「決められた操作を正確に繰り返す」ことに長けています。一方で生成AIは「自然言語を理解し、文脈に沿った文章を生成する」ことが得意です。これをチケット対応の流れに当てはめると次のようになります。
RPAの役割:チケットの取得、情報抽出、担当部署への登録、顧客管理システムとの連携といった定型処理を自動で行う。
生成AIの役割:問い合わせ文を要約し、意図を理解してカテゴリ分けを行い、さらには下書き回答を自動生成する。
つまり、RPAが「手足」となって処理を回し、生成AIが「頭脳」となって文章や判断を担う。この組み合わせこそが効率化の肝になります。
実行例①:問い合わせ内容の自動分類と振り分け
従来はオペレーターが1件ずつ問い合わせ内容を読み、カテゴリを判断し、担当部署へチケットを割り当てていました。この作業は時間がかかるうえ、属人的な判断に左右されやすいのが難点です。
RPA × 生成AIの仕組みでは次のように処理が進みます。
RPAが新規チケットを取得
チケット管理システムから新規問い合わせを一定間隔で確認し、内容を取得します。
生成AIが問い合わせ文を要約しカテゴリ判定
文章から「請求に関する質問」「システム不具合」「操作方法の確認」といったカテゴリを抽出。
RPAが自動的に担当部署へ振り分け
判定結果に基づき、システム上で部署を選択し、チケットを登録します。
この流れにより、担当部署に届く時点で内容が整理されているため、初動スピードは格段に上がります。実際の現場では「問い合わせから担当者確認までに10分以上かかっていたものが、30秒以内で完了した」という効果が期待できます。
実行例②:定型回答文の自動生成と下書き登録
よくある質問に対して、オペレーターが毎回一から文章を作成するのは非効率です。生成AIを活用すれば、チケット内容に即した回答の下書きを自動生成できます。
RPAが対象チケットを読み込み
問い合わせの本文を抽出し、生成AIに入力。
生成AIが自然な回答文を作成
過去のFAQやナレッジベースを参考にしながら、顧客に分かりやすい文章を生成します。
RPAが回答欄に下書きを登録
オペレーターは下書きを確認し、必要に応じて修正・承認して送信。
この仕組みを導入すると、1件あたり数分かかっていた文章作成が数十秒に短縮されます。また、文章のトーンを統一することで「回答の品質が安定する」という副次的な効果も生まれます。
実行例③:チケット対応の進捗報告を自動化
サポート部門のマネージャーにとって、チケットの対応状況を把握するのは重要な業務です。しかし日々の報告作成は担当者の負担になりがちです。
ここでもRPAと生成AIの組み合わせが活躍します。
RPAが対応中チケットの一覧を取得
進捗状況や担当者名、対応期限などを自動的に抽出。
生成AIが要約レポートを生成
「今週の未解決件数は〇件、主な課題は△△に関する問い合わせ」といった形で分かりやすくまとめる。
RPAがメールやSlackに自動送信
関係者が常に最新の進捗を把握できる体制を構築。
これにより、報告作業に割いていた時間が不要になり、担当者は顧客対応に専念できるようになります。
実行例④:多言語対応の自動化
グローバルに展開する企業では、多言語での問い合わせ対応が避けられません。しかし専門スタッフを常時配置するのはコストが高いのが現実です。
生成AIは自然な翻訳機能を持ち合わせているため、以下の流れで効率化できます。
RPAが外国語の問い合わせを取得
生成AIが母国語に翻訳し、要約を生成
回答文を母国語で作成し、再び外国語に翻訳
RPAがチケットに登録し返信
この仕組みによって、多言語対応にかかるリードタイムを大幅に短縮できます。専門スタッフは最終確認や特殊ケースに集中できるため、全体の品質も維持されます。
まとめ:RPAと生成AIが切り開く新しいサポート体制
ここまで紹介した実行例から見えてくるのは、RPAと生成AIの組み合わせが「単なる省力化」にとどまらず、チケット対応業務そのものを変革する可能性を持っているという点です。
初期対応のスピード向上
回答の品質と一貫性の確保
報告作業や多言語対応といった周辺業務の効率化
これらを総合すると、サポート部門は「人がやるべき仕事」と「機械に任せる仕事」を明確に分けられるようになります。オペレーターは機械的な処理から解放され、より付加価値の高い顧客対応に集中でき,これは顧客満足度の向上にも直結します。
今後、RPAと生成AIを組み合わせたチケット対応の効率化は、競合との差別化要因としてますます重要になっていくでしょう。いま導入を検討することは、将来の顧客体験を左右する投資とも言えます。
あなたの組織にとっても、RPA × 生成AIによる新しいサポート体制が「次の一歩」となるのではないでしょうか。
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