経理業務の未来形~RPA × 生成AIで請求処理も仕訳も自動化!
- 兎澤直樹
- 2 日前
- 読了時間: 4分

1. 経理業務に求められる「正確性」と「迅速性」
経理業務は、企業運営に欠かせない基盤です。しかしその一方で、請求書の確認・仕訳・転記など、反復的で属人的な作業が多く、人手不足やミス、業務負担の集中といった課題を抱えています。
企業では近年、DXの一環として「RPA」や「生成AI」の導入が進んでいますが、経理領域は特に“ルール化しにくい処理”が多く、単純な自動化だけでは限界があります。そこで注目されるのが、"RPAと生成AIの融合による“ハイブリッド自動化”です。
2. なぜRPAだけでは限界なのか?
RPAは、あらかじめ決められたルールに基づいて操作を自動化するのが得意です。例えば、定型の請求書から日付や金額を読み取って、会計ソフトに入力する処理などです。
しかし実際の現場では、
請求書のレイアウトが企業ごとに異なる
勘定科目が文脈によって変わる
備考欄に手書きのメモがある
といった非定型的な判断が求められる場面が多く、こうしたケースではRPAだけでは対応しきれません。
3. 解決の鍵は「生成AIとの協働」
このような課題に対して、生成AI(たとえばGPTなど)を組み合わせることで、大きな突破口が生まれます。生成AIは、人間のように文章や文脈を理解し、推論をもとに判断を下すことができます。
例えば、
PDFから読み取った請求書情報をGPTに渡し、「これはどの勘定科目に分類されるか?」と問う
内容をもとに自動的に仕訳を提案させる
RPAがその仕訳を会計ソフトに入力する
という連携をとることで、「判断」も含めた自動化が実現できるのです。
4. 実証実験:個人が構築したPoCの全貌
私はこの構想を、自分の手で実証してみることにしました。PoCとして、架空の請求書を複数パターン作成し、それをもとに「RPA × 生成AI」のプロセスを自動化してみたのです。
実験環境
請求書:PDF形式(以下3種類)を用意
生成AI:GPT-4 APIによりOCR読み取りおよび勘定科目の判断・仕訳案を生成
RPA:MICHIRU RPA
⇩一般的なフォーマット

⇩項目が複雑・手数料系

⇩手書きメモあり・軽作業

処理内容
PDF請求書をChatGPTに入れ、「この取引に適切な仕分け勘定科目を判断し表を作成して」と指示
出力された仕訳案(例:「支払手数料」「通信費」「雑費」など)をRPAでCSV化
5. 結果と考察
⇩ChatGPTでの出力結果

⇩手動処理と比較した結果
項目 | 手動処理 | 自動処理(RPA×生成AI) |
1件あたりの処理時間 | 約10分 | 約2分 |
勘定科目の一致率(手作業と比較) | ― | 約94%(試行回数100回) |
処理対象の汎用性 | △(定型のみ) | ○(非定型にも対応) |
今回、一致率の計算に関して、1言1口同じであるときを正として算出しました。結果的には、自動処理の精度は100%ではないものの、「人がゼロから考える必要がなくなる」という点で大きな前進を感じました。確認フェーズだけに集中できるため、精神的な負担も減り、何より工数が大幅に削減できました。
6. 導入のポイントと注意点
このPoCから見えた、導入にあたってのポイントは以下の通りです。
例外処理の設計:生成AIは万能ではなく、「判断に迷う例外」を明確にしておくことが重要
データの質:GPTの出力精度は、入力される文の正確性に依存するため、OCR処理の精度も大事
人間によるレビュー設計:最終判断を人が行うことで信頼性が担保される
7. 結論:経理業務は“手放すことで進化”する
「経理業務はミスが許されないから、人がやるべきだ」と考えがちですが、だからこそ機械に任せられる部分は大胆に任せるべきです。RPAと生成AIを掛け合わせることで、「業務効率化」と「判断品質の安定」の両立が可能になります。
企業全体での導入はハードルが高いと感じるかもしれませんが、まずは小規模なPoCを自ら行ってみることで、技術の可能性を肌で感じることができます。この記事が、その第一歩となれば幸いです。
↓RPA運用サポート.comへの無料相談はこちらから
全国リモート対応可能。お気軽にお問い合わせください。
↓こちらから資料をダウンロードできます