RPAというのは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略です。
言葉は分かりにくいですが、弊社ではRPAを一言で言い表すとしたら「パソコンの定型業務を自動化するソフトウェア」とお伝えしています。
パソコンやサーバやクラウドなどの環境にRPAというソフトウェアをインストールして運用します(製品によって異なります)。
基本的に、社内の定型業務(明確な手順と判断基準が存在するために誰がやっても基本的には同じ結果・アウトプットになる業務のことを弊社では「定型業務」と定義づけています)が自動化対象になります。
例えば、「まずこのWebサイトにアクセスする」⇒「次にここのボタンをクリックする」⇒「今日が月~金曜日だったらここに●●と入力する。土日祝だったら▲▼と入力する」⇒「ここの文字をコピーする」⇒「こっちのExcelのここのセルに貼り付ける」といった感じで、対象業務のひとつひとつの手順をRPAというソフトに覚えさせます。
多くのRPAは、プログラミング言語の理解が不要でも、シナリオを覚えさせることができるようになっています。
きちんと覚えさせれば、次回以降、その手順を再現してくれます。RPAが自動的に業務を行う様子のイメージとしては、誰もいないのに勝手にパソコンの画面が動いて、クリック、コピー、入力など、あらゆる動作を行っている感じです。
RPAによって人間よりも早く、ヒューマンエラーなく業務を遂行してくれます。ただ、RPAの価値というのはそれだけではありません。RPAが自動で仕事を行っているあいだ、人間は別の業務ができるため、生産性を高めやすいというのが本質的な価値だと弊社ではお伝えしています。
RPAの導入を考えるとき、「パソコン業務を覚えさせる」と言っても、どこまでのことができるのかを理解しておかないと、計画の立てようがありません。
RPAでできること・できないことの境い目がどこなのか、弊社では以下のようにお伝えしています。
「誰がやっても同じ結果・アウトプットになる業務か否か」
Aさん、Bさん、Cさん、誰がやっても同じ結果・アウトプットになる動作や業務であれば、基本的にはRPAの自動化対象です(ある程度の機能を保有するRPAツールであればですが)。
誰がやっても同じ結果・アウトプットになるということは、明確な手順と判断基準があるということです。そして、その明確な手順と判断基準を覚えさせ、自動で実行させることができるのがRPAなのです。
逆に、RPAには自動化できないパソコン業務と言えば、例えば、「会社のロゴをデザインする」とか、「図面を引く」とか、「20枚の写真データの中から好みの1枚を選ぶ」などです。
なぜこれらの業務をRPAで自動化できないかというと、人それぞれの価値観や好みによって結果・アウトプットが変わることを前提とした業務だからです。十人が同じ業務をやっても、結果は十人十色、もしくは最適解が人によって異なるはずです。それはつまり、事前に「明確な手順や判断基準」を覚えこませる必要のあるRPAには、再現が難しいということなのです。
しかし、確かに「20枚の写真データの中から好みの1枚を選ぶ」は人によって好みは違うのでRPAにはできませんが、「このフォルダの中の写真を上から1枚ずつ選んでいく」ということであれば、手順と判断基準が明確なので、RPAにも再現できるということになります。
もし、「この業務、自動化できるだろうか?」と迷われたら、「誰がやっても同じ結果・アウトプットになるか?」ということを思い返してみてください。
ちなみに、「紙の情報をパソコンに打ち込む」という業務は、パソコンの範囲外のためRPAだけではできません。RPAはあくまでパソコンでの処理に限られます。OCRを使うか、人が入力するかして、コンピュータ上のテキストデータになったものをRPAが処理することはできます。
同じく、画像データの中の文字を認識するのも、通常、人間がマウスをドラッグしても文字として認識できませんので、厳密には人によって結果・アウトプットに差が生まれてしまう可能性がある動作と言えます。そのため、これもRPAだけでは読み込めず、OCRか手打ち入力が必要になります。
RPAは、「パソコンの範囲内で、人によって結果・アウトプットに差が生まれない明確な手順と判断基準が存在する動作や業務」が対象になります。
RPAが自動化できるのは、「誰がやっても同じ結果・アウトプットになる業務」です。
そのため弊社では、従業員のみなさんに対象業務を洗い出していただく際、以下の条件に当てはまる業務を洗い出していただくようにお伝えしています。
パソコンのルーティン業務で、
・「ちょっと面倒だな」と思う業務
・教えれば他の人でもできそうな業務
このような業務はたいていRPAに覚えさせることができます。
これらの条件に当てはまる業務をまずはExcelやスプレッドシートなどに一覧化することをオススメします。
一覧化した上で、各業務で「ひと月あたり何時間費やしているのか」を合計してみましょう。
その「削減時間」×「平均時給」+「人間がその時間に別の仕事をすることによる付加価値」の合計値が、投資する費用をペイできると思えばRPAを活用するメリットがあると判断できると思います。
RPA選定に重要なのは以下の5つだとお伝えしています。
それぞれユーザー企業様によって重視されているところも様々かと思いますので、参考にしていただけたらと思います。
①アプリケーションの互換性
システムなので、互換性・相性というものがあります。
RPAツールによっては、「このシステムは動かせなかった」ということもあります。
弊社のユーザー企業様も、自社で利用しているシステムを動かすことができずに、RPAツールを新しく入れ替えたという企業様も多いです。
システム自体に互換性がなければ、そもそも自動化したい業務を自動化できません。
特に、ブラウザを利用するWebアプリケーションや、レガシーなシステムは、ご検討中のRPAで自動化できるかどうか、事前にテストしてみることをオススメいたします。
②機能の充実
そもそも、自動化させたい業務を自動化させるために必要な機能が備わっていないと、実現は難しいでしょう。とはいえ、機能がありすぎて、複雑で使いづらいというのも考えものです。
オススメは、画像認識とスクリプト機能が両方備わっているものです。
画像認識は、プログラミングスキルがなくても簡単にクリック位置などを指示できますが、画像認識しか備わっていないRPAだと、高い確率で行き詰まってしまいます。
かといって、プログラミングスキルがないと設定ができないRPAもハードルが極めて高いです。
画像認識の他に、スクリプト機能が備わっていて、選んで適切に設定していけば、複雑なスクリプト機能も使える(つまりプログラミングコードを書かずにスクリプト機能が使える)RPAがオススメです。
③直感的な分かりやすさ
誰にでもITツールの見た目や操作性に「好き嫌い」はあると思います。長く使っていくのであれば、「好き嫌い」もとても大切です。
中には、アイコンが充実していたり、易しい色合いに工夫を凝らしているRPAもあります。その方が使い始めの心理的ハードルは下がります。一方で、「慣れ」である程度カバーできる部分も大きいので、弊社はアイコンや易しい色合いは必須とは考えていません。
「好き嫌い」をベースにしつつも、アイコンの有無や色合いがベストでなくても、「慣れ」でカバーできるくらいのものであれば、直感的に操作方法を教わっている中で「なるほど!」と理解しやすいかどうかが重要だと考えています。
④料金体系とライセンス形態に表れるメーカーの設計思想
やはりコストは大切です。
ほとんどのRPAは月額課金制ですが、中長期的に見て、払い続けることが苦にならない、費用対効果がきちんと取れる金額であることが必要です。
RPAは一般的に、大手企業から導入が進んだ経緯があるため、月額数十万円(もしくはそれ以上)と高額のものが多いです。月額10数万円でも低価格な方です。
対象業務をどちらも自動化できるのであれば、コストは低い方が費用対効果は当然高くなります。
ただし、「単に安ければ良い」というものでもありません。安くても機能が充実していなかったり、使いこなす難易度が高ければ、結局、自動化できないということも多くあります。
無料のRPAツールもあります。例えば、マイクロソフトのPower Automate Desktopは無料です。しかし、これはそれなりにITリテラシーが高く、分からない箇所は検索して自己解決できるくらいのスキルを持っている方には良いと思いますが、一般的には中小企業様ではなかなかそうもいかないでしょう。
ツール単体のコストだけでなく、サポートやシナリオ作成など、外部に依頼する場合のコスト感も重要です。
自動化させたい業務内容にもよりますが、ひとつシナリオを作るのに60万円~90万円を請求されるケースが一般的には多いようです。
あと重要なのは、単純な「月額いくら」という金額の大小だけでなく、「1ライセンスでどこまでできるのか」というライセンス形態も、費用対効果を把握する上では重要です。
多くのRPAは「1ライセンス=1端末」というライセンス形態が多かったり、シナリオ作成できる開発版が高額で、実行するのみの実行版が少額という分け方をしているものも多いです。
弊社は、1ライセンスで複数端末使用可能で、開発も実行も両方でき、RPAの中で最安値とまではいかなくても(無料のものもありますから)、同等レベルの機能の充実さを備えるものに比べると低価格で済むRPAツールを推奨しております。詳しくはお問い合わせください。
よく弊社では、RPAに限らずあらゆるものやITツールに言えることですが、このようなお金周りの料金体系には、提供側のホンネや思惑が宿るものです。
なぜその金額なのか、なぜこのライセンス形態なのか、なぜこれは別料金なのか、その設計思想がユーザー側を向いているのかは重要です。その設計思想に共感できた方が、中長期的に利用していくことを考えると、良い関係が築けるものと弊社は考えてRPAツールを選定したり、自社のサポートメニューを作っております。
⑤アップデート事情
現状の機能も重要ですが、アップデートによるツールの進化も重要な要素です。
大手企業が開発しているRPAツールは、ネームバリューの安心感はありますが、1ユーザーの要望をアップデートに反映できるかというと、なかなかそうもいかないでしょう。海外メーカーのRPAツールも同様です。仮に反映してくれたとしても、様々な稟議でスピードは遅いことが多いようです。
一方で、小規模なメーカーの場合は、柔軟にユーザーの声をアップデートに反映してくれるメーカーもあります。
多少の機能の差は、アップデートによってカバーしてくれるかもしれません。
1ユーザーの声をどれだけ吸い上げてアップデートに活かそうとする姿勢があるかも、重要な見極めポイントであると思います。
はい。弊社はRPAの運用サポートに専門特化しているものの、弊社にて推奨させていただいているRPAツールのみが運用サポートサービスの対象となります。
それは、サポートの品質レベルを高く保つためです。
実はRPAと言っても、製品によってシステム構造やUIが大きく異なっていたりします。様々なRPAツールに対応できるようにするよりも、優れたRPAツールを弊社なりに客観的な視点で目利きをし、推奨させていただいております。
その方が、サポートさせていただく上で弊社も安心できますし、「ユーザー企業様が自動化したい業務を確実に自動化する」という結果に対してコミットできるからです。
既にRPAを導入済みで、他のRPAツールを利用されていたけどうまく運用できずに、入れ替えをされたユーザー企業様も多くいらっしゃいます。
詳しくはお問い合わせいただき、御社の状況を教えていただけたら幸いです。
弊社が推奨しているRPAは「MICHIRU RPA」という国産のRPAツールです。
30ツール以上のRPAツールを比較し、選定しています。
「RPAの中で最安値!」とまではいきませんが(無料のツールもありますので)、よく比較対象になる同等クラスのRPAツールの中ではランニングコストも低価格で済むケースが多いです。
機能も豊富で費用対効果も高めやすいRPAツールとして、弊社では「MICHIRU RPA」というRPAツールを推奨しております。
詳しくは弊社までお問い合わせください。
はい。RPAツールによってシステムの互換性や相性があったりするので一概には言えませんが、弊社が推奨しているRPAツールは、Windows7以上のOS環境で動作するシステム・アプリケーションであれば、レガシーであろうと、最新のWebアプリケーションであろうと、自動化対象にすることができます。
はい。もしお使いのシステム・アプリケーションを、RPAによって動かせるかどうかお試しになりたい場合は、試用版のライセンスを発行し、テストしていただくことも可能です。詳しくは弊社までお問い合わせください。
はい。基本的にRPAはタイマーを設定し、実行自体を自動化することができます。
例えば、「タスクAを毎週火曜日の朝7:00に実行開始する」などです。
RPAツール自体にタイマー機能を備えているものもあれば、OSに標準搭載されているタイマー機能(Windowsであれば「タスクスケジューラ」)を利用して実行させるものもあります。
はい。パソコン端末にインストールするタイプのRPAの場合、基本的に端末間でシナリオデータを移管することが可能です。
しかしその際には注意点もあります。
パソコン端末が変わると、あらゆる環境(ディスプレイ解像度やファイルの保管場所や各システムのバージョンなど)が変化しますので、そのままは動かせずシナリオのメンテナンスが必要になることが多いです。
移管はできますが、基本的には「動かす環境で作る」を鉄則とした方が、後でシナリオのメンテナンスが必要になることが少なくて済みます。
RPAの製品によります。
多くのRPA製品は、「1ライセンス=1端末まで」という制限があります。
中には、「1ライセンス=2端末まで」というRPA製品もあります。
弊社では、「1ライセンス=複数端末(何台でも)」というRPAをユーザー企業様に推奨しております。
「別に複数端末使える必要はない」という企業様は気にする必要はないと思いますが、弊社のユーザー企業様の場合は、例えば経理業務を自動化する際、「給与情報があるため、RPA専用として用意した共用パソコンでは、情報を他部署の従業員に見られないか不安・・・」ということもあります。
そのため、将来、複数端末で利用する可能性があるのであれば、このあたりのライセンス形態も見ておきましょう。
