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RPA × 生成AI × ノンエンジニア活用 ― 誰でも業務自動化の時代へ

  • 兎澤直樹
  • 12 分前
  • 読了時間: 5分
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はじめに


近年、企業の生産性向上や働き方改革の文脈で「RPA」が広く導入されてきました。繰り返し作業を自動化できるその利点は大きい一方で、設定や管理には専門的なスキルを要する場面が少なくありませんでした。しかし、ここに「生成AI」が加わることで状況は大きく変わりつつあります。特に注目すべきは「ノンエンジニアでもRPAを使いこなせる」時代が訪れたことです。本記事では、RPAと生成AIを組み合わせた活用法を、非エンジニアの視点に立って解説し、どのように現場の業務を変革できるのかを明らかにしていきます


RPAと生成AI、それぞれの役割


まず整理しておきたいのは、RPAと生成AIの得意分野の違いです。RPAは定型的なルールに従って処理を行うことに強みがあります。たとえば、請求書の情報をシステムに入力する、定期的にレポートを生成してメール送付する、といった作業はRPAが最も得意とする領域です。一方で生成AIは、自然言語や画像といった非定型情報を理解し、文章の生成や分類、要約などを柔軟に行える点に優れています。両者を組み合わせることで、ルールベースでは対応しづらかった作業までも自動化できるようになります


ノンエンジニアが直面してきた壁


従来、RPAを導入しようとすると「シナリオ作成」という壁が立ちはだかっていました。RPAツールはGUI操作で比較的直感的に扱えるものも多いのですが、実際に業務に合わせた自動化シナリオを作成する際には、条件分岐やエラーハンドリングといった要素を考慮する必要があります。これはプログラミングの経験がない人にとって大きなハードルでした。その結果、せっかく導入しても一部のIT部門や外部ベンダーに依存せざるを得ず、現場の担当者が自ら改善を進めるのは難しい状況が続いてきたのです。


生成AIがもたらす「言葉での指示」


この課題を劇的に解決するのが生成AIです。ノンエンジニアが自然な言葉で「毎朝9時に最新の売上データをExcelから抽出し、グラフ化して上司にメール送信したい」と指示すれば、生成AIがRPAシナリオの下書きを自動生成してくれるようになっています。つまり、プログラムコードを直接書くのではなく、日常的な会話の延長で自動化を構築できるのです。この「言葉での指示」は、RPAを現場に定着させる上で決定的に重要な要素となります。


ノンエンジニア活用の具体的シナリオ


では、どのような業務がノンエンジニアによって自動化可能になるのでしょうか。たとえば営業部門では、商談後の議事録を生成AIが自動要約し、RPAが社内の共有システムに登録することで、報告作業の負担が軽減されます。経理部門では、メールに添付された請求書をAIが読み取り、仕訳候補を提示し、RPAが会計システムに登録することで、従来は専門知識が必要だった業務が誰でも扱える形に変わります。また人事部門では、応募者の履歴書をAIが解析してスキルマッチングを行い、RPAが面接候補日程を自動調整することも可能です。これらはいずれも、従来ならIT部門のサポートが必要だったプロセスを現場担当者自身が運用できることを意味しています


現場の心理的ハードルを下げる効果


ノンエンジニアにとって、自動化に対する「自分にはできないのでは」という心理的なハードルは非常に大きいものです。しかし生成AIによって、難しい設定や専門用語を理解する必要がなくなり、自然言語によるやりとりで自動化が構築できるようになれば、そのハードルは大幅に下がります。さらに、生成AIは質問に答える形で学習支援も担うため、利用者は「使いながら学ぶ」ことができます。この循環が生まれることで、自動化は一部の専門家だけのものではなく、全社員が参画できる取り組みへと広がっていきます。


組織全体へのインパクト


ノンエンジニアが自らRPAを扱えるようになると、組織全体の改善スピードが飛躍的に向上します。これまでは「改善要望を上げて、IT部門に開発を依頼し、数週間から数か月後に実装される」という流れが一般的でした。しかし現場で課題を認識したその瞬間に、担当者自身がAIと対話しながら自動化を構築できるようになれば、業務改善のサイクルは圧倒的に短縮されます。さらに、部門ごとの小さな自動化が積み重なることで、企業全体として大きなコスト削減と生産性向上につながっていきます。


注意すべきポイント


もっとも、すべてが順風満帆というわけではありません。生成AIが提案する自動化シナリオは、必ずしも正確ではない場合があります。特に法的リスクやセキュリティリスクを伴う処理では、専門家によるレビューが不可欠です。また、現場で乱立した自動化がかえって混乱を招くリスクもあります。そのため、ガバナンスや標準化の仕組みを整えることが、ノンエンジニア活用時代には一層重要になります。企業は、自由度と安全性のバランスを保ちながら、自動化文化を根付かせていく必要があるのです


これからの展望


RPAと生成AIの融合は、業務自動化の「民主化」を象徴する動きと言えます。かつては専門的なスキルを持つ一部の人にしか扱えなかった自動化が、今では誰もが参加できるものへと変わりつつあります。将来的には、生成AIがさらに進化し、利用者の意図をより正確に理解し、業務プロセス全体を俯瞰して提案できるようになるでしょう。そのとき、ノンエンジニアが担う役割は単なるユーザーにとどまらず、自動化文化の担い手として組織の変革を牽引する存在へと進化するはずです。


おわりに


「RPA × 生成AI × ノンエンジニア活用」は、単なる技術トレンドではなく、働き方そのものを再定義する動きです。ノンエンジニアが自ら業務改善に踏み出せることで、企業は柔軟かつ持続的に進化し続けられるようになります。そして、個々の社員が「自分の手で仕事を良くできる」という実感を持つことが、真の意味でのデジタルトランスフォーメーションの原動力となるでしょう。



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