RPA × 生成AI × ログ分析で実現する次世代の業務効率化
- 兎澤直樹
- 11 分前
- 読了時間: 5分

はじめに
企業活動において日々発生する「ログ」は膨大です。システムのアクセスログ、アプリケーションの操作ログ、ネットワークの通信記録、顧客行動データなど、多岐にわたります。しかしその多くは保存されるだけで、十分に活用されていないのが現状です。もしこれらのログを効率的に収集・分析し、業務改善につなげることができれば、コスト削減と付加価値創出の両立が可能となります。本記事では、RPAと生成AIを掛け合わせ、ログ分析を自動化・高度化するアプローチを紹介します。特に「実行例」を丁寧に示すことで、これからRPA導入を検討する方に具体的なイメージを持っていただける内容としています。
RPAと生成AIが変えるログ分析のあり方
従来のログ分析は、専門の分析ツールを用い、担当者がSQLクエリやBIダッシュボードを操作しながら手作業で進めることが多く、時間と労力を要していました。RPAはこうした定型的な「データ収集や整形」を自動化し、生成AIは「要約」「異常検知」「改善提案」といった解釈部分を担うことができます。
たとえば、RPAが毎朝サーバーからログを抽出し、不要なカラムを削除してGoogleスプレッドシートに格納。そこに生成AIを接続することで、「昨日はアクセス集中がどの時間帯に起こったか」「不正アクセスの可能性がある挙動は見られたか」といった自然言語の問いに即座に答えられるようになります。
単なる省力化にとどまらず、「人間が見落としがちなパターンを自動で提示する」という付加価値を生み出せる点が、RPA × 生成AI × ログ分析の強みです。
実行例1:Webサイトアクセスログの自動レポート化
あるECサイトを運営する企業を例に考えてみましょう。従来、担当者は毎日Google Analyticsやサーバーログからアクセスデータを手作業でダウンロードし、Excelでグラフ化して上長に報告していました。この作業には1〜2時間を要していました。
ここにRPAを導入すると、以下のように変わります。RPAが毎朝6時に自動でログを収集し、前日分のPV数・滞在時間・直帰率をスプレッドシートに転記。その後、生成AIが「アクセスが急増したページ」「離脱率が高い時間帯」を自然言語で要約し、Slackに報告を送信します。
これにより担当者は、単なる集計作業から解放され、報告を受け取った瞬間に「改善アクションを考える」ことに集中できるようになります。
実行例2:セキュリティログの異常検知支援
次に、社内ネットワークのセキュリティログを扱うケースです。従来はセキュリティ担当者が数十万件のログを目視で確認し、不審なアクセスを探し出す必要がありました。これは膨大な時間がかかり、見落としのリスクも伴います。
ここにRPAと生成AIを組み合わせると、まずRPAが毎日深夜にファイアウォールやサーバーのログを収集。生成AIは「通常より短時間に集中したアクセス」「特定のIPアドレスから繰り返された失敗ログイン」などのパターンを自動抽出します。
その結果、担当者は「どのログが異常とみなされるのか」をAIから説明付きで受け取り、判断すべき部分に集中できます。たとえば生成AIが「東京からの通常アクセスが95%を占めるが、昨日は海外IPからの試行が急増している」と指摘すれば、具体的な対処に直結するのです。
実行例3:製造現場のIoTログ活用
製造業においては、センサーやIoT機器から日々膨大な稼働ログが生成されます。これを活かせば設備の故障予兆をつかみ、メンテナンス計画を最適化することが可能です。
RPAが各機械の稼働ログを収集し、生成AIが「振動の異常」「温度の急上昇」「過去の故障と似たパターン」を自動でコメント化します。さらに、AIが「来週中に保守が必要な可能性が高い」と提言すれば、現場は計画的に部品調達や作業員の配置を行えます。
こうした活用は、ダウンタイムの削減や品質管理の強化につながり、ひいては顧客満足度の向上に寄与します。
RPA × 生成AI × ログ分析導入の効果
これらの実行例に共通する効果は大きく分けて3つあります。
1つ目は「作業時間の圧縮」。従来は人が数時間かけていた処理を、RPAが数分で完了させます。2つ目は「見落としの防止」。生成AIが異常やパターンを指摘することで、人間の注意力不足によるリスクを減らせます。そして3つ目は「付加価値の創出」。単なる数値の羅列ではなく、AIが自然言語で「何が重要か」を提示してくれるため、経営層や現場担当者が即座に意思決定に活用できるのです。
これにより、RPAは単なる自動化ツールにとどまらず、生成AIとの組み合わせによって「業務改善の提案者」としての役割を果たすようになります。
導入ステップのイメージ
では実際に導入を検討する際、どのように進めればよいでしょうか。最初のステップは「小さな範囲での試行」です。まずはWebアクセスログや社内のシステムログといった、既に蓄積があるデータから始めるのが適切です。RPAでデータを収集・整理するフローを構築し、生成AIに簡単な分析や要約をさせてみます。
次に「業務フローへの組み込み」です。SlackやTeamsなどのチャットツールと連携させ、毎日の定例報告を自動生成するようにすれば、チーム全体が恩恵を受けられます。
そして最終的には「横展開」。セキュリティ、製造、顧客対応といった複数部門に展開し、全社的にログ分析を効率化する基盤を築くことが目標となります。
まとめ
RPAと生成AIを掛け合わせたログ分析は、単なる効率化ではなく「企業の意思決定を加速させる武器」となります。アクセスログの分析によるマーケティング改善、セキュリティログによるリスク管理、IoTログによる製造現場の予防保全など、応用範囲は広大です。
重要なのは、最初から大規模な投資をするのではなく、小さな実行例から効果を確認し、段階的に広げていくことです。本記事で紹介した実行例を通じて、「自社でもできるかもしれない」という具体的なイメージを持っていただけたのではないでしょうか。
今こそ、RPA × 生成AI × ログ分析を導入し、業務の次なる進化を実現する第一歩を踏み出す時です。
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