RPAと生成AIが変える物流・運輸業の未来──業務自動化と革新の最前線【完全ガイド】はじめに:物流の現場から始まるデジタル革命
- 兎澤直樹
- 10月7日
- 読了時間: 7分

物流・運輸業界は今、大きな転換期を迎えています。eコマースの拡大、配送スピードの高度化要求、人手不足の深刻化、そして国際情勢による輸送コストの変動……。そのすべてが、業務の複雑化と現場の疲弊をもたらしています。
「作業時間が足りない」「人手が足りない」「でも、仕事量は減らない」
そんな現場の“叫び”を受け止めるべく、いま注目されているのが「RPA」と「生成AI」の融合です。これらの技術は、単なる“便利ツール”ではありません。業務のあり方そのものを変える力を持っています。
本記事では、物流・運輸業においてRPAと生成AIがどのように現場に価値をもたらすのかを、豊富な事例とともに徹底的に掘り下げます。
第1章:物流業界が抱える「構造的課題」とは?
1-1. 人手不足は単なる一時的な問題ではない
国土交通省の調査によれば、トラックドライバーの平均年齢は49.5歳(2024年時点)を超え、若年層の参入も減少傾向にあります。これにより、輸送力の確保そのものが難しくなりつつあります。
また、倉庫管理や配車管理、請求処理などのバックオフィス業務もまた、担当者の属人化が進んでおり、「人がいなければ業務が止まる」リスクが高まっています。
1-2. DX推進の遅れ
紙ベースの伝票、FAXでの発注、電話での確認といったアナログ文化が根強く残っている現場が多く、情報の分断が起きています。
これにより、次のような非効率が発生します
二重入力や手作業の転記
目視での検品・確認によるミス
人によって判断のばらつきが生まれる
1-3. 「時間」と「正確さ」のジレンマ
業務が多く、かつ複雑であるにも関わらず、現場では「迅速な対応」と「正確な処理」の両立が求められます。しかしこれを人間だけで行おうとすると、どこかで限界が訪れます。疲労、集中力の低下、経験の差……これらがミスや遅延の原因になります。
第2章:RPAとは何か?物流業界との“親和性”が高い理由
RPAは、PC上で人が行う定型業務をソフトウェアロボットが代行する技術です。
2-1. RPAが得意な業務
RPAは以下のような特徴を持つ業務に対して効果を発揮します。
定型的でルールが明確
入力・出力のフォーマットが決まっている
大量の繰り返しが発生する
エラーが許されない作業
2-2. 物流業界の「RPA向き」業務例
業務 | 内容 |
配送依頼メールの確認と仕分け | 一日に数百件届く配送依頼メールをRPAが自動で判別し、分類・振り分け |
請求書の発行・照合 | 出荷実績と請求内容の突合をシステム間で自動化 |
運賃の計算 | Excelにて複雑な料金テーブルに基づく運賃をRPAで自動算出 |
荷主との報告書作成 | 運行結果を基に定期的なレポートを自動生成・送信 |
2-3. 「人にしかできない仕事」へ人を戻す
RPAはあくまで“手作業の自動化”であり、人間の判断や対人対応には関与しません。だからこそ、単純作業から解放された社員が「ドライバーとのコミュニケーション」や「異常対応」など、本当に価値のある業務に集中できるようになります。
第3章:生成AIとは?自然言語の処理能力が物流を変える
生成AIとは、大量のテキストデータなどを学習して、意味のある文章や情報を生成するAIのことを指します。代表的なのはChatGPTのような対話型AIです。
3-1. 「理解」「分類」「要約」が得意
生成AIの主な強みは以下の3点です。
理解力:長文のメールや依頼内容の意図を把握する
分類力:内容に応じて重要度・業務内容を振り分ける
生成力:報告文やメール返信文を自動生成する
3-2. 物流業界での活用イメージ
配送依頼メールの自動解釈(納期、重量、条件の抜き出し)
運行報告書の自動要約とフォーマット化
クレーム対応文の自動下書き
交通情報を基にした配車変更のアドバイス提示
第4章:RPAと生成AIの連携が物流業界にもたらす“本当の自動化”
4-1. RPAだけでは限界がある
たとえば、メールの内容を人間のように読み取り、「これは急ぎの依頼だから今日中に処理しよう」と判断することは、従来のRPAには困難です。なぜなら、RPAは“手順通りにしか動かない”ため、曖昧な判断や文脈の理解ができないからです。
ここで登場するのが生成AIです。生成AIは、メールの文面を読み解き、意味を理解し、優先度や処理方針を判断することができます。
その判断を基に、RPAが「何を、いつ、どう実行するか」を機械的に処理する。これが真の“業務のフル自動化”です。
4-2. 具体的な連携のワークフロー
以下は、生成AIとRPAを組み合わせた「配送依頼の受付から配車確定まで」の自動化フローです。
メール受信(OutlookやGmail)
生成AIがメール内容を読み取り:
荷主名、配送先、商品、納品希望日時などを抽出
RPAが抽出内容を配車システムに入力
配車可能な車両・ドライバー情報を取得
条件に合うドライバーを選定し、Slackで通知
確定したスケジュールをメールで自動返信
これにより、人間が行っていた「読む」「理解する」「記録する」「調整する」「通知する」といった一連の業務が、完全にノータッチで処理されます。
4-3. MICHIRU RPAの強み:誰でも「自動化できる」環境
MICHIRU RPAは、物流業界でも導入が進む国産RPAです。生成AI(ChatGPT)との連携や、ブラウザ操作の自動化に優れています。特に、次のような特長が物流現場にフィットしています。
ノーコード・ローコード設計
プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップでシナリオ(自動化手順)を作成できます。
JavaScriptでの高度な操作が可能
MICHIRUでは、JavaScriptを使ってブラウザ上の複雑な操作(クリック、入力、データ取得)を正確に再現できます。
このJavaScriptも、ChatGPTと連携しながら作成できるため、「エンジニアでなくても高度な自動化」が可能なのです。
⇩ちなみに、実際の動きはこんな感じです。
第5章:物流業界における活用事例と導入成果
5-1. 事例1:中堅運送会社の「月間80時間削減」
背景:
月2,000件の請求書処理を人手で実施
手作業によるミスが頻発
担当者2名がフルタイムで処理
導入内容:
請求書のPDFから生成AIでデータを抽出
MICHIRU RPAで基幹システムに自動入力
エラー時はメールで通知され再確認可能
効果:
作業時間80時間削減/月
処理ミスゼロ
担当者1名を別業務に配置転換
5-2. 事例2:倉庫業者の「庫内業務の改善」
入荷予定情報がFAXで届く
手書きの内容を毎朝Excelに転記
転記ミス・入力漏れが頻発
解決方法:
OCR+生成AIで手書き文字を認識し、RPAがExcelを自動更新
入荷予定リストが朝7時に自動生成
結果:
毎朝1時間の作業がゼロに
作業員が出勤時にはデータが揃っている状態に
第6章:RPA・生成AI導入のステップと注意点
6-1. 成功する導入ステップ
業務棚卸:自動化対象を洗い出す
PoC(試験運用):小さな業務から導入
スケーリング:成果を確認し、徐々に範囲を広げる
教育と定着:現場担当者が使いこなせるよう支援
6-2. よくある失敗とその回避策
業務が属人化していて、仕様化できない
→ まずは“文書化・標準化”から始める
AIの判断が信用できない
→ はじめは人間によるチェック付きで運用し、徐々に信頼性を確認
ツール導入だけで満足してしまう
→ 真の目的は「業務の最適化」。目的からブレないこと
第7章:今後の物流業界と“完全自動化”の展望
物流の将来像は、“より少人数で、より多くの荷物を、より早く、正確に届ける”という方向に進んでいます。そこでは、人間が全てを担うのではなく、RPAや生成AIといったテクノロジーが共に働く形がスタンダードになります。
すでに欧州や中国の一部では、AIによる配車最適化、完全無人倉庫、無人配送車の運用が始まっています。日本でもこれに追随する形で、IT投資と業務変革が急速に進むでしょう。
最後に──“物流業界の働き方”そのものを変える武器
RPAと生成AIは、単なる業務効率化のツールではありません。
働く人の負担を減らす
若手が定着しやすい職場をつくる
顧客対応の品質を上げる
トラブル対応の余裕を生み出す
こうした“働き方の変革”を支える強力な味方です。
あなたの会社でも、まずはひとつの業務から自動化を始めてみませんか?未来の物流を形づくるのは、今この瞬間の選択です。
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