自社に合うRPAツール選定のやり方と注意点【決定版】
RPAツールってどれが自社に合っているんだろう・・・
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自社に合うRPAツールがわからない
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何を判断基準に選定すれはいいのかわからない
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全てのRPAツールを比較検討する時間はない
実際、RPAは様々な開発メーカーから製品がリリースされており、弊社が把握しているものだけでも40近い製品があります。
また、インターネットや展示会などでRPAツールの種類を把握しても、結局数多くのRPAツールの中から「自社に合うRPAツール」を選びきれないという方も多いことでしょう。
そこでこの記事では、あなたの会社に合うRPAツールを見つけるために必要な選定方法と注意点を分かりやすく解説したいと思います。
弊社が普段、RPAの運用をサポートさせていただいているユーザー企業の中には、RPAツールの選定に失敗してしまい、後でRPAツールを入れ替えた経験をお持ちの企業も少なくありません。
そんな実際の企業の事例と弊社の経験から、なるべくあなたの会社がRPAツールの選定に失敗せず、最もあなたの会社に合うRPAツールと出会っていただくための情報をお伝えいたします。
よくある記事「RPAおすすめツール○選!」だけでは自社に合うRPAツールは絞り込めない
Webで「RPA_ツール」などと検索すると、「RPAおすすめツール○選!」のようなタイトルの記事がたくさん出てきます。
これらの記事は、RPAツールの種類を知るには良いですが、広告にお金をかけているものであることが多く、それが本当に自社に合っているとは限りません。
ツール選定を誤ってしまうと、機能が不足していて自社が自動化したい業務を自動化できなかったり、操作が難しすぎて技術を習得できずに挫折してしまったりすることもあります。
現に弊社に相談いただいた企業様の中には、以前導入したRPAツールでは上手く運用できず、ツールごと変更することになってしまったケースもたくさんあります。
これまでご相談を数多くお受けした経験から、RPAツールの入れ替え(失敗)パターンは大きく4つあります。
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ツールの機能不足
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価格が見合わない
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アプリケーション同士の相性が良くなかった
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エラー時に十分なサポートが受けられず解決できなかった
このように後から入れ替える必要のないように、ここからはあなたの会社に合ったRPAツール選定の際に見るべきポイントをお伝えします。
ポイント1.RPAの種類
まずは、RPAというものにはどのような種類があるのかを紹介します。
大きくは、「動作環境」と「記録方式」によって分類することができます。
以下に解説している通り、RPAツールにも様々な種類がありますが、結論、多くの中堅中小企業様には、弊社では「デスクトップ型」×「ハイブリッド型」のRPAツールをお勧めしています。
1-1.動作環境
まずRPAには、どのような環境でRPAというソフトを操作させるかによる違いがあります。
大きく分けて、「サーバー型」「クラウド型」「デスクトップ型」の3つがあります。
①サーバー型RPA
サーバーを社内に設置して運用するRPAです。
かなり大規模な運用に向いている種類のRPAで、多額の費用を投じても採算が見合う必要があるため、ほとんどの中小企業にとっては選択肢になりにくいでしょう。
②クラウド型RPA
インターネットを経由して、Web上で行う業務を自動化するRPAです。
中小零細企業向け(ただしクラウド上で運用できる業務のみ)と言えます。
③デスクトップ型RPA
PC内にソフトをインストールして運用するRPAです。
インストールしたPC内で完結するような作業を自動化するのに適しています。
大規模な処理までは必要としない中堅中小企業におすすめです。とはいえ、弊社ユーザー企業には3000人以上の大企業でも、部署ごとにデスクトップ型を導入して運用しているケースもありますので、あくまで自社の運用に合いそうな種類を選ぶと良いと思います。
1-2.記録方式
業務を覚え込ませる際の技術的な方式のことです。
「画像型」「スクリプト型」「ハイブリッド型」があります。
①画像型RPA
操作を画像でRPAに覚え込ませ、実行時に画像認識技術を用いて一致する画像をクリックさせるというものになります。
指示できる操作が画面操作に限られるため、例えば「今日の日付を入力しなさい」や「このリストから8行目のみを抽出しなさい」などといった少し複雑な処理には対応が難しくなります。
実際、単純そうに見える作業であっても、画面操作だけで完結できるものは非常に少なく、ほぼ必ずどこかで行き詰ってしまいます。そのため、画像型しかできない、もしくはそれ以外の機能が乏しいRPAはあまりおすすめしません。
②スクリプト型RPA
「開発型」とも呼ばれます。プログラミング言語を用いるタイプのRPAです。
高いプログラミングスキルが前提となるので、中小企業にはあまりおすすめできません。プログラミングに長けた人であれば、より複雑な業務を自動化させることができるでしょう。
③ハイブリッド型RPA
画像認識による指示ができるだけでなく、スクリプトによる複雑な指示を行うことができる機能も備わっています。必要な値を入力すればよいので、プログラミング言語を用いてコードを書くことなくスクリプト機能を実行させることができます。
(例:「このリストから8行目のみを抽出しなさい」という指示を、「【A】のリストから【8】行目の文字列を抽出しなさい」といった具合に、【 】内を埋めれば指示が完成するようになっています。)
ポイント2.システム同士の互換性が悪くないか
RPAといってもソフトウェアですから、システム同士の互換性(相性)の問題があります。
もし、あなたの会社で使用しているシステム・アプリケーションとの相性が悪いRPAツールを選定してしまうと、そもそも自動化が困難です。
例えば弊社ユーザーのIT企業様は、初めて導入したRPAツールでは、PDF上のテキスト文字をドラッグしてコピーすることができなかったそうです。そして結局、弊社推奨のRPAツールに入れ替えて運用しました。
他にも、 RPAによってはブラウザで動くWebアプリケーションが苦手なものや、Javaというプログラミング言語で作られたシステムが苦手なものなど、様々な相性問題が存在します。
弊社で推奨しているRPAツールは、Windows7以上で動作するシステムであれば基本的に苦手が無いのが利点の1つです。
もし自社で使用している主要なシステム・アプリケーションをきちんと動かせるRPAツールかどうかが心配であれば、導入前にトライアルができますのでお問い合わせください。
ポイント3.十分な機能を備えているかどうか
RPAツール選定の際は「動作環境」と「記録方式」だけを見ればよいわけではありません。
「自動化したい自社の業務をきちんと自動化できるだけの機能を備えているか」をしっかりと見る必要があります。
備えている機能の違いによって、あるRPAツールでは実現できるけれど、別のRPAツールでは実現できなかったということがよくあるからです。
以下に確認すべきポイントをまとめたチェックリスト付きの小冊子を作成しています。
自動化したい業務や環境は会社によって異なるのでこれですべてを網羅できるわけではありませんが、1つの参考にしていただけたらと思います。
ポイント4.柔軟にユーザーの要望を取り入れてアップデートに反映してくれる姿勢を持っているか
RPAツールを選定している時点では仮に不足している機能があったとしても、アップデートによって将来的に改善されるかもしれません。
もちろん、要望内容によって、優先順位や開発スピードが様々なのは当然ですが、それでもユーザーの声を拾い上げようとする姿勢は大切です。
ちなみに弊社推奨のRPAツール「MICHIRU RPA」では、これまで出した多くの要望を取り入れてくれてますし、その開発スピードも驚く速さです。
大手の開発メーカーや海外製のRPAツールだと、なかなかこうはいかないでしょう。
RPAは、運用し始めると現状の機能ではどうしても対応できない状況に直面することもあります。そんなときに、アップデートによって解決してくれる姿勢や、対応実績を多く持つ開発メーカー・販売業者かどうかも重要なのです。
ポイント5.ツールばかりを見ずに「人」を見よう
ツールばかり見てしまうと、機能や費用のみが判断基準になってしまいがちです。
もちろんそれも重要なことではありますが、使いやすさも、料金体系も、サポートの充実度も、一事が万事「人の想い」に表れるものです。
接してみて「長く信頼関係を築いて一緒にやっていけそう」という感覚が湧くかどうかは意外と大事です。
RPAツール選定の際に「人」を見るポイントは、例えば以下のようなものがあります。
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営業担当者の人柄
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レスポンスの速さ
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こちらが言っていることを的確に理解してくれる理解力の高さ
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自社の業務を的確に分解してくれる整理力
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素人でも分かりやすい説明か
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技術部隊にも的確に状況や要望を伝えてくれる伝達力
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ユーザーに寄り添う姿勢を、言葉だけでなく「行動」として見せてくれるかどうか
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(「分からないときはどんどん聞いてくださいね」と相手から言ってくれる、「あとはマニュアルを読んでください」で済まされないなど)
また、料金体系にはメーカー側の設計思想が表れています。どれだけ良いことを言っていても、お金の部分は嘘をつきません。
RPA以外のITツールでも、例えば「契約は5IDから」や「最低契約期間は1年間」というものがよくあります。
もちろん、料金体系は開発側がそう決めたのですからよいと思います。しかし、「なぜそのような料金体系なのか」と理由を聞いたときに、ユーザーのことを向いているか、その回答内容が納得できるものかどうか、その思想に共感できるかどうかは、自社に合うツールをきちんと選定するにはとても大切な観点だと言えるでしょう。
ポイント6.サポートは「個別の状況」に寄り添って解決してくれる力があるか
単に「サポート窓口がある」と言われても安心してはいけません。
一般的なRPAベンダーはどうしてもビジネスモデル的にサポートの手離れの良さを重視せざるを得ないので仕方ない部分もありますが、ほとんどのサポートは、個別・固有の状況を理解して解決策や最善策の提案をしてくれないという声が多いです。
他にも、よくある対処策や、他ユーザーでの対処策の事例がいくつか送られてくるだけだったという声も多くあります。また、集合型のセミナー・技術研修が多く、自社の個別の状況に応じた解決策や技術習得のヒントが得られなかったというのもよく聞きます。
RPA利用中に発生するエラーというのは、ほとんどが使用しているシステムの構造や自社の業務フローなどに関する個別の事象に依存しています。ですので、汎用的なマニュアルや対処事例がそのまま当てはまらないことのほうがむしろ多いのです。
そのため中小企業に最も望ましいのは、個別の事象に寄り添って、その状況での対応をしてくれる「個別対応型のサポート」があるところだと弊社では考えています。
弊社ではこの「個別対応型のサポート」を行っておりますので、RPAの運用に困っている企業様からよく相談をいただいております。
もちろん、RPAツール選定の際には、ツールそのものの費用だけでなく、サポート費用も重要です。ある程度シナリオの作成スキルが向上したとしても、継続的に業務を自動化していけばわからないことやエラーが発生することは十分にあり得ます。そのため、無理なく継続的に利用できるサポート費用かどうかも重要になってきます。
また、詳細なRPAツールの選定ポイントや活用事例、自動化対象業務の洗い出し方法など、RPAの実践ノウハウをまとめた、弊社の代表が執筆した書籍もございます。
ご一読いただければ、どのように組織としてRPA運用を成功に導けるか、きっと多くのヒントが得られることでしょう。