費用対効果を計算しよう
前章では、業務の洗い出しについて説明してきました。
【自動化業務洗い出しシート】を活用された方、そうでない方も自動化できそうな業務を洗い出せたことかと思います。
とはいっても、「洗い出せたので、さっそく自動化しよう」としてはいけません。というのも、もともと月1時間しかかからない業務を自動化してもあまり恩恵は得られないですからね。
なので、洗い出した業務を自動化することでどれくらいの時間を削減できるのかを数値化して確認することが大切です。これは、費用対効果を計算することにつながります。
なのでここからは、洗い出した業務の費用対効果を算出する方法について確認していきましょう。
業務の洗い出しをすることで、今までどの作業にどのくらいの時間をかけていたのか、そしてRPAを導入するとどのくらいの時間を削減できるのかが明確になり、人件費をどのくらい削減できるのかを把握することができます。
これにより、RPAを導入するべきか否か、導入している企業であれば次にどの業務を自動化するべきかを確認することができます。
どのくらい人件費を削減できるのかを確認することができるということはつまり、費用対効果を知ることができるということです。
それでは、洗い出した業務について自動化した時の費用対効果を計算してみましょう。
費用対効果の計算方法について、前章の最後で取り上げた【自動化業務洗い出しシート】を用いて、具体的な例をあげて説明します。
最初に、RPAの費用対効果とは、RPAの費用対効果=削減効果+空いた時間で生み出した付加価値です。まずは、削減効果についてみていきましょう。
自動化業務洗い出しシートの作成例
例えば、A社では得意先からのメールチェックに毎日1時間、クライアント企業への連絡通知業務に毎日3時間、予算の作成や管理に週1回4時間、請求書作成、送付義務に月2回2時間をかけているとします。
これらを月に換算するとそれぞれ以下の計算になります
メールチェック:1時間×22日=22時間
連絡通知業務:3時間×22日=66時間
予算の作成や管理:4時間×4日=16時間
請求書作成、送付義務:2時間×2日=4時間
つまり、合計で月間108時間削減できたことになります。
もし、これらの作業に時給1500円換算の人件費がかかっているとすると、費用対効果は以下のように計算できます
1500円×108時間=162,000円
つまり、月間で約16万円削減できたことになります。
ここで内訳をみてみると、日々の業務であるメールチェックと連絡通知業務だけで 約13万円削減できていることがわかりますね。
このように、毎日20分、30分、90分と時間がかかっている業務の削減効果による積み重ねは大きいです。
また、毎日行っている業務を自動化できれば、一度作成したシナリオを高い頻度で使いまわせるため、開発効率も高くなります。
例えば、空いた時間で生み出した付加価値を月間14万円とすると、費用対効果は削減効果+空いた時間で生み出した付加価値ですから、月間で30万円となりますね。