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RPAで大学生アルバイトが
「月次ユーザー利用実績レポート作成業務」
を自動化してみた

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こんにちは!

私は弊社(株式会社ドットコネクト)でアルバイトをしている大学生です。

 

弊社は主に、「クライアント企業様のRPAの導入支援・運用サポート・シナリオの開発支援」を行っている会社です。

 

アルバイトを始め、1か月程度RPAについて学んだ後、練習として「弊社のユーザー様のRPAのご利用状況を月毎にまとめたレポート」をExcelで作ることになりました。そして、その作業工程をRPAで自動化することになりました。

 

ExcelにもRPAにも詳しくない私がそんなものつくることができるのか、、、

不安な気持ちで作り始めましたが、たくさん教えてもらったり、調べたりしながら、何とか形にすることができました。

これからどのようなレポートを作成したのか、どのようにして自動化したのか、その道のりをお伝えします。

 

・RPAでどんなことができるのか、具体的な事例が気になっている方

・利用実績レポート作成業務をRPAで自動化したいと考えている方

 

に参考にしていただければ幸いです。

RPAを使った作業の自動化方法・利用状況レポートの作成方法の実例を知り、RPAについての理解を深めたり、利用実績レポートを作るアイデアを得たりできると思います。

こんなレポートを毎月自動で
RPAが作ってくれるようになりました!

詳細について説明する前に、まずは完成形をお見せしたいと思います。

RPAが以下の2つの図のpdfファイルを、月次のフォルダ内に保存します。

グラフ.png

↑「1か月ごとのRPA利用時間を、2年分出した折れ線グラフ」です。

「契約期間が短い順」に10社ずつグループ化されており、契約期間が近い会社様同士で比較を行うことができます。

表.png

↑「RPAの利用時間のランキングや、増加傾向などをまとめた表」です。

グラフからだけでは読み取れない特徴を見出すために作成しました。

グラフ・表の詳細については、このあとの「まずは利用実績レポートの型をつくろう!」で詳しく説明していきます。

このレポートを使って何をする?

今までは販売代理店用の管理サイト上で、定めた期間内の利用状況を「数値」として見ることしかできませんでした。

 

このレポートにより、月ごとの変化をグラフで見られるようになり、会社同士の違いが一目でわかるようになりました。

 

このレポートを用いて、

 

・RPAをうまく活用できていなさそうなユーザー様がいれば、会社として素早くサポートができるようにする

・RPAをうまく活用できているユーザー様の定量的なデータ把握を行い、成功要因を深く探る

 

といったことに役立てようとしています。

まずは利用実績レポートの「型」をつくろう!

RPAで「月次ユーザー利用実績作成業務」を自動化する前に、まずはExcelでレポートの「型」をつくりました。過去2年分の利用状況データをまとめた折れ線グラフを出すことをゴールとしました。

 

そして、今後は集計をRPAで自動化することを念頭に入れ、「こうしておくとRPAがやりやすいな」ということを意識して「型」を作るのがポイントです。

「型」づくりSTEP1: 顧客情報、利用実績のデータをシートに貼り付ける

・顧客情報

RPAはまず、弊社のユーザー情報のデータベースの中から、ユーザーID・会社名・契約開始日を取得します。

 

次に、日付の差を求めるDATEDIF関数で契約期間を算出し、ユーザー情報として加えました。

 

※契約期間を算出する式: =DATEDIF(契約開始日,今日の日付)

 

契約期間があることで、契約期間の長短でご利用状況の傾向を分析したり、契約期間が近いユーザー様同士の比較ができるなど、データからより多くの特徴を発見できるようにしています。

・利用実績データ

次にRPAは、販売代理店用の管理サイトから、過去2年分のデータを1か月ごとに取得し、集計用Excelの1つのシートに貼り付けます。シート名は「データが集計された年.月」とするようにしました。

 

このデータには、RPAの起動時間・起動回数・タスク時間(実際にRPAを動かした時間)・タスク回数(実際にRPAを動かした回数)が含まれています。

image.png

↑販売代理店用の管理サイトのユーザー様ごとの利用実績画面

「型」づくりSTEP2: 利用実績の項目ごとに表を作成

次にRPAは、集計用Excelのシートを「起動回数・起動時間・タスク回数・タスク時間」ごとに分け、縦軸を「会社情報」、横軸を「利用するデータの年.月」とした表を自動で作成します。

 

貼り付けた全ユーザー様の2年分のデータの中から、ユーザー様ごとの対象月のデータのみを拾うため、横軸からデータを拾うシート名、縦軸から会社名を指定し、VLOOKUP関数で情報を拾っていきます。

 

RPAがExcelに入力する関数は次のようなものです。

 

=VLOOKUP(会社のユーザーID,シート名(横軸)&データを取得する範囲,データを取得する列,FALSE(ユーザーIDが完全に一致したものを取得する))

 

できた表は、以下の図のようになりました。

横軸は見切れていますが、2年分のデータがあります。

image.png

「型」づくりSTEP3: 折れ線グラフで可視化

次にRPAは、STEP2で作成した表から折れ線グラフを作成し、利用実績の変化を見やすくします。

 

ユーザー情報は契約期間が短い順に10社ずつ、1つのグラフにまとめるようにしています。縦軸は「取得したデータ(タスク回数や起動時間など)」、横軸は「集計期間(月ごと)」となっています。

 

起動時間・タスク時間は元のデータでは単位が「分」となっていましたが、数字が大きく分かりにくかったため、単位を「時間」へと変更しました。

 

以下の図が、集計後にRPAが作成した、契約期間がとある月数範囲のユーザー10社様分の、RPA実行回数の月次推移を表すグラフです。

タスク回数折れ線.png

「型」づくりSTEP4: 表の作成

さらに利用実績のデータを分析するため、表の作成を行いました。

表では次の3つのことについてまとめました。

①起動回数・起動時間・タスク回数・タスク時間のランキング

それぞれの利用実績のデータ項目について、前月分のデータで値が大きい順にランキング付けを行いました。

これをみることで、「タスク時間の順位より起動時間の順位が高い会社は、RPAのシナリオ作成にあてている時間が長い可能性が高い」というような、グラフだけでは分からない特徴を見つけることができます。

②給料換算

「タスク時間×時給」でRPAでどれだけ人件費を削減できているか計算しています。

時給は、現在のIT業界における正社員の給料を参考に定めました。

このとき給料が「RPA導入費用より低い場合に色付け」を行い、まだRPAを活用しきれていない可能性がある会社を分かりやすくしました。

③増加・減少傾向

過去3か月のタスク時間のデータを用い、タスク時間の傾向を示します。

3か月連続で減少(増加)している場合に、減少(増加)傾向にあると判断をしました。

減少傾向にある会社は、RPAの導入がうまくいっていない可能性があり、サポートを行う必要があると考えられます。

いよいよRPAを使って更新作業を自動化!

Excelで実績レポートの型を作成できたら、「RPAを用いてExcelの更新作業の自動化」を行いました。いわゆる、RPAの「シナリオ作成」のステージです。

RPAシナリオ作成STEP1: 最新ユーザー情報の取得

ユーザー様情報のデータベースは毎月変化する可能性があるため、まずは最新のユーザー様情報を取得するようにRPAに覚えさせました。

 

販売代理店の管理サイト上で、ユーザー様の情報があるページを全範囲コピーし、Excelで前月の情報を書き換えます。

契約している顧客情報だけを取り出したい、、、

取得した情報には、解約したユーザー様も含まれていました。

そのため、「現在も契約されている顧客様のみの情報を抽出すること」が課題となりました。

 

「正規」の RPAライセンスを持つユーザー様は、現在も契約をしている、という法則を利用することにしました。

 

①販売代理店の管理サイト上で 「クリック操作」を追加し、正規ライセンスを持つユーザー様が上に並ぶようにしました。

②RPAに備わっている「文字列操作」のスクリプト機能で正規ライセンスを持つ会社数を得ました。

 

正規ライセンスを持つユーザー様は上に並んでいるため、「取得操作」で上から、先ほど得た数分のユーザー様情報を取得することで、課題が解決しました。

RPAシナリオ作成STEP2: 月情報の更新

更新作業では最も古い月のデータを削除し、新しい前月分のデータを挿入することで、「常に過去24か月分のデータのみを扱ってレポート作成できる」ようにしました。

 

「削除するデータ」と「追加するデータ」以外は変更せず、最低限の操作で更新作業を行えるようなシナリオになっています。

 

その際、RPAに備わっている「日付取得」機能で取得した「前月の年.月」を利用し、更新作業を行うようにしていますので、正しい年月の選択が常にできるようになっています。

①表の横軸の更新

起動回数などの表が作成されている各シートでは、横軸が抽出するシートを指定しています。

 

RPAに備わっている「キーボード入力操作」で、セルを1列ずつ左に移動させ、最後の列はRPAに保存していた「前月の年.月」にしました。これにより、セルに入力されている関数は変更することなく、前月の利用状況を取得するよう変更できるようになっています。

表の更新.png
グラフが変更されてしまう、、、

最初の列を切り取り最後に挿入させ、その列の日時だけを変更することで、少ない操作で更新ができると考えていました。しかし、列の切り取りを行うとグラフの範囲が変わってしまうことが分かり、上記のような操作をすることにしました。

②シート名の更新

利用状況のデータを貼り付けるシート名は、表の横軸と同じ「年.月」となっています。

 

横軸の更新作業と同様に、シートを最後尾に移動させ、シート名をRPAに保存していた「前月の年.月」に更新するようにしました。これにより、利用状況を貼り付けるシートが、古い順で2年分用意できるようになりました。

RPAシナリオ作成STEP3: 利用状況データの取得・貼り付け

販売代理店用管理サイトから、「前月の全ユーザー様の利用状況のデータ」をRPAが「全範囲コピー操作」で取得し、先ほどシート名を変更したものに、「貼り付け操作」を行います。

 

STEP2で、利用状況を取得する表は変更されているため、“データを貼り付けるだけで”、表が自動的に更新されます。このように、RPAが全データをいっぺんに貼り付けるだけで表が完成するような、シンプルなシナリオで済むように意識してExcelの「型」をあらかじめ作り込んでおいた訳です。

RPAシナリオ作成STEP4: グラフ・表をファイルに保存

ランキング付けした「表」は、「折れ線グラフ」と別で保存するようにしています。その理由としては、「自動化が簡単になること」と「両者を比較して見ることができ、分析がしやすくなること」があります。

 

もちろん、更新された表に基づき、グラフもExcel側で自動的に更新されるようになっています。

 

また、エクスポートでPDFに変換し、あらかじめ作っておいた「利用実績レポートファイル」に保存されるようにしました。

このときファイル名はSTEP2で取得した「前月の年.月_グラフ(表)」としました。

【動画】実際のRPAの動きをお見せします!

以下の動画はRPAの一連の動きを録画したものです。

これまで説明したことを理解いただくのに役立つと思います。

 

なお、弊社は「MICHIRU RPA」というRPAツールの販売代理店でもありますので、今回はこのRPAツールを使用しています。

時間はかかったけれど、無事完成できた、、!
大変だったのは、、、

RPAレポート_完成画像.png

RPAにもExcelにも慣れていない私でも、たくさん調べながらなんとか完成させることができました。

 

Excel、RPAについて知っていくなかで「こんなこともできるのか・・・!」という驚きがたくさんありました。作業を始めたときよりExcel・RPAに詳しくなることができたと感じています。

 

作っていく中で何度も頭を抱えたのですが、ここからはどのようなことに悩んだかお伝えします。

悩み1:どのようなレポートにするのか

「利用実績レポートを作成する」という目標は決まっていましたが、フォーマットは決まっておらず、1から考えていきました。

 

・どのようにしたら見やすいレポートになるか

・どうすればRPAで情報の更新がしやすいか

・グラフが作りやすい表をつくるには、どうすればよいか

 

ただ見やすいレポートにするのではなく、更新作業の自動化に関しても考慮する必要があるため、それなりに難しく、たくさんの時間を費やしてしまいました。

悩み2:1つの作業がこんなたくさんの工程に!? ~RPAで作業の細分化~

更新作業を自動化する際に、「目標に対してどのように自動化を実現するか」何度も悩みました。RPAは「人間がパソコンでする作業を自動化」できますが、人間と全く同じように作業ができるわけではありません。

 

例えば、契約が続いているユーザー様のみを抽出する際、人間はユーザー様の情報を見ながら、頭の中で判断し、契約が続いているユーザー様だけをExcelに転記していくことができます。もちろん記憶違いというリスクはありますが・・・。

 

しかし、RPAはそのような属人的な判断はできません。何らかの明確な判断基準を与える必要があります。今回の場合、私は、RPAで1度すべてのユーザー様の情報を得たあとで、特定のフラグの有無によって条件に合う顧客のみが抽出されるようにしました。

 

人間が「1つの作業」として行うことを、RPAでは「いくつかの細かい作業に分割」して考える必要があります。人間が手で行っている作業だけでなく、頭で行っている作業にも注目し、工程を考えていくことが重要です。

経験や知識も大事だけど、まず大事だと感じたことは、、、

「ゴールまでの作業を細分化し、そこに至るまでのプロセスをしっかり組み立てること」

 

これが、私が経験や知識が豊富ではない状況の中で、実績レポート作成業務の自動化を実現した上で、最も重要だと感じたことです。

 

効率的に目標を達成するためには、確かに知識や経験は重要です。実際に手や頭を動かして、作り上げた経験の積み重ねで、効率的で効果的な方法を導き出せるようになると思います。

 

しかし私は今回の経験を通して、「経験や知識を持つこと」や「とにかく着手してみること」よりも、まず「ゴールまでの見通しを立てること」の重要性を実感しました。

 

私は、はじめに目標までの一連の流れを考え、そこからどんどん小さい目標を立てていくことで、作業の細分化を行いました。

image.png

「はじめに全体の目標と一連の流れを立てる」ことで、「これから何をしていくか」が明確になり、全体像をしっかり理解することができます。

 

「作業工程を細分化する」ことで、次のメリットを感じました。

細分化により、具体的に必要な目標が見えてくるため、何か良い方法がないか悩んだときにも解決策を見つけやすくなりました。例えば、やりたいことを実現するためのExcelの関数をインターネットで調べる際にも、目標が明確なため適切な検索結果を得やすくなると感じました。

 

細分化により、たくさんの小さな目標が立てられることになります。

「実績レポート作成の自動化」という最終目標は、1日で達成できるものではありません。しかし、小さな目標を設定し、日々達成することで「進歩」を実感して作業を進められ、モチベーションを保つことができたと感じます。

細分化により、今着手している作業が流れ全体の中のどの段階にあるのか、他の作業とのつながりを意識しながら、工程を進めていくことができました。

工程途中でつまづき、作業を変更する場合に、1から工程を見直すのではなく、関わりのある作業のみを見直し、軌道修正できたことが、作業の効率化につながったと感じます。

 

今回は、これまで説明してきたような流れと方法で「ユーザー様の月次実績レポート作成を自動化する」という目標を達成しました。

 

もちろんこのやり方が正解ではなく、ただ1つの例に過ぎません。レポートの形、自動化を実現するためのRPAのシナリオの組み方には様々な方法があります。

 

私も実際に作業を進めていく中で、ショートカットキーやRPAの機能について知り、どんどん修正していきました。そして、今の私ができる最大限の結果が、これまでお伝えしてきた形のものになりました。

 

ここまで読んでくださってありがとうございます。

①業務工程が具体的になることで、作業に取り組みやすい
②達成できる目標が増えるため、モチベーションが保たれる
③工程途中でつまづいても、軌道修正がしやすい

ご相談はお気軽に「RPA運用サポート.com」まで!

・自社の業務はRPAで自動化できるだろうか、、

・自社でもレポートを作成したいけれど、どのような「型」にしよう、、

・レポート作成業務を自動化したいけど、どうすればいいかな、、

 

などなど、RPAについて、あるいは実績レポート作成について、少しでも気になることがある方へ。

 

弊社では、「MICHIRU RPA」を活用した「個別対応型のサポート」を行っています。お気軽にお問い合わせください。

また、詳細なRPAツールの選定ポイントや活用事例、自動化対象業務の洗い出し方法など、RPAの実践ノウハウをまとめた、弊社の代表が執筆した書籍もございます。

ご一読いただければ、どのように組織としてRPA運用を成功に導けるか、きっと多くのヒントが得られることでしょう。

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